名古屋発AIベンチャー、トライエッティングが資金調達を実施
名古屋大学から発信されたAIスタートアップ、株式会社トライエッティング(以下、トライエッティング)は、近日中に約11.3億円の資金を調達したことを発表しました。この運営の背景には、愛知県名古屋市に本社を置く株式会社アオキスーパーおよび三栄商事株式会社が出資者として名を連ねています。
トライエッティングの提供する製品
同社が展開する「UMWELT(ウムベルト)」は、プログラミングが不要で簡単にデータ分析や自動化を実現するノーコードDXツールです。この製品の特長として、基本的に「いつ、何が、どれだけ売れたか」という三つの列のデータを用意するだけで、需要予測や生産計画、人員配置を最適化可能です。このシンプルさが、予測および計画業務の効率化と属人化の解消をもたらします。
特に、製造業や飲食業、物流業、不動産など、幅広い業種で活用されており、多くの顧客がその効果を享受しています。具体的なケースとしては人気菓子メーカーの春日井製菓が、需要予測業務の効率化を実現しました。また、佐渡汽船はAI技術を用いて乗員配置の最適化を行っています。これらの成功例は、UMWELTの信頼性と有用性を証明しています。
さらに、トライエッティングはシフト作成を自動化するAI「HRBEST(ハーベスト)」も開発。複雑なシフト管理をAIが一手に引き受けることで、特にコールセンターや障害者支援施設においてシフト作成の効率化が実現されています。
新たな資金調達の意義
今回の資金調達は、既存製品のさらなる拡張を可能にするだけでなく、採用および組織体制の強化にも寄与します。今後は、需要予測技術に加え、シフト作成AIにおける組合せ最適化技術の融合によって、複雑な計画業務の自動化を進め、「ものを作り、運び、売る」業務の効率化が期待されています。
トライエッティングは、アオキスーパーと人員および物流計画の最適化に関する取り組みを計画しており、また三栄商事とは生産計画の最適化に向けた連携も視野に入れています。このように、地域企業とのコラボレーションを通じて、地元の課題解決を目指し、持続可能な産業構造の構築に貢献する姿勢を示しています。
コメントする企業の代表者たち
この資金調達に関して、アオキスーパーの青木俊道社長は、「少子高齢化による労働力不足への対策として、AI技術を取り入れた業務改善を早急に進めている」と述べ、トライエッティングとの出会いが期待される協業の起点となっていることを強調しました。
一方、三栄商事の後藤正幸社長は、「人と人との出会いが未来を切り開く」とし、トライエッティングの革新的な技術との協力を通じて名古屋から世界へのチャレンジを期待しています。
企業の将来に向けて
トライエッティングのCEOである長江祐樹氏は、「愛知・名古屋でのさまざまな業種を支えるAIサービスを提供し続けることで、中小企業から大企業までの課題解決に取り組んでいきたい」と述べています。また、地域を超えて日本全体の社会課題である人手不足や少子高齢化などの解決にも貢献する意義があると考えています。
このように、名古屋発のAIベンチャーが新たな資金を得て成長を加速する中、その技術と地域連携が、未来の産業界をどのように変えていくのか注目が集まります。