近年、生成AIに対する関心が高まり、多くの教育現場でもこのテクノロジーを活用した授業が行われるようになっています。そんな中、NPO法人企業教育研究会(ACE)が、アクセンチュア株式会社の支援を受けて開発した小学生向け生成AI講座「生成AIってなんだろう?」の教材が、2023年3月16日より全国の学校や教育機関に向けて一般に公開されました。本教材の最大の特徴は、教員が最小限の準備で授業を実施できるように設計されている点です。
教材の内容と特徴
この教材には、生成AIに関する基本的な知識を学ぶための内容が詰まっていますが、それだけではありません。AIの仕組みや便利さだけでなく、その利用に伴うリスク、特に回答をそのまま信用しないことや、個人情報を入力することの危険性についてもバランスよく教えます。児童が興味を持ち続けるために、クイズや実演も取り入れられており、楽しみながら学べる工夫が施されています。
授業をスムーズに進行させるための「授業台本」が用意されており、進行方法、児童への問いかけ、専門用語の説明などが詳細に書かれています。このため、事前に特別な教材を作成する必要がなく、教員は質の高い授業を実現することができます。
また、授業は1コマ45分で完結する形式となっており、総合的な学習やICT教育の時間枠内に取り入れやすい構成になっています。特に13歳未満の児童については操作に関する懸念があるため、教員が操作を見せるデモンストレーション形式で授業を進行し、現場の安全性にも配慮しています。
研修会の実施
教材の配布と並行して、教員向けの無料研修会も行われます。この研修では、アクセンチュアの専門家が、生成AIに関する最前線の知識を持った講師として教員に解説を行います。これにより、教師が自信を持って授業を実践できるようサポートします。
安全性と信頼性の確保
この教材は、教員が児童とのやり取りを行いながら進められる授業プランを提供し、児童が直接AIを操作することを避けることで、教室での安全性を確保しています。クラス全体でAIの返答を分析し、考察しあうデモンストレーション形式は、子どもたちの理解を深めるだけでなく、批判的思考を育てる良い機会になります。
実績と期待
実際に先行して行われた授業の様子や児童たちの反応は、NPO法人企業教育研究会の公式サイトに掲載されています。また、今後は教材のダウンロードや教員研修の申し込みが公式サイトを通じて受け付けられます。このような先進的な取り組みにより、生成AIについての理解が深まり、児童たちがAIと共存する社会でのリーダーシップを育む場を提供できることが期待されています。教育の未来を担う子どもたちにとって、生成AIは新しい可能性の扉を開く重要な技術となるでしょう。
監修者の思い
千葉大学教育学部の教授であり、NPO法人企業教育研究会の理事長を務める藤川大祐氏は、「生成AIは今後の教育や社会に大きな影響を与える技術です。だからこそ、子どもたちがその特徴や限界について理解し、活用していくことが重要です」と語っています。このような取り組みを実現するため、この教材が教員の負担を軽減し、教室での生成AIに関する理解を深める手助けになればと期待されています。