フードバンクの現状と課題
2023-09-08 13:00:01

物価高騰で増加する支援ニーズとフードバンクの現状:過去最多38,549世帯への食料支援を完了

物価高騰とフードバンク:支援ニーズの増加と課題



近年、物価高騰の影響により、経済的な困難を抱える世帯が増加しています。その現状を如実に反映しているのが、フードバンクへの支援ニーズの高まりです。全国フードバンク推進協議会が実施した「フードバンクこども応援全国プロジェクト」では、2023年夏の夏休み期間中に過去最多となる38,549世帯への食料支援が実施されました。これは、前年度を大きく上回る数字であり、物価高騰が多くの家庭に深刻な影響を与えていることを示しています。

しかし、支援ニーズの増加とは裏腹に、フードバンクを取り巻く状況は厳しいものとなっています。プロジェクトに参加したフードバンク団体の77%が食料支援の要請件数が増加したと回答しており、一方では37%の団体が食料寄付量の減少を報告しています。支援を必要とする世帯は増える一方、支援を支える食料の供給が追いついていないのが現状です。

支援要請増加の背景には、物価高騰による家計の圧迫が大きく影響しています。これまで節約しながら生活してきた世帯でも、物価上昇によって生活が維持できなくなり、フードバンクに助けを求める家庭が増えているのです。回答の中には、「給料日までもたない」「実質賃金の低下が大きい」といった切実な声が寄せられています。

日米フードバンクの比較:組織基盤の強化の必要性



日本のフードバンクの現状をより深く理解するためには、アメリカのフードバンクとの比較が有効です。アメリカのフードバンクは、年間739万トンもの食品を取り扱っており、これは日本の食品ロス発生量を上回ります。日本のフードバンクの年間取扱量は約7,000トンであり、アメリカの1,000倍以上の開きがあります。この圧倒的な差は、組織基盤の強度の違いに起因します。アメリカでは、公的支援によりフードバンクの組織基盤が強化され、食品の保管・運搬・配布能力が向上しているのです。

日本のフードバンクは、マンパワーや施設、設備などの面で課題を抱えており、十分な支援を届けることが困難な状況です。支援ニーズの増加に応えるためには、日本のフードバンクも組織基盤の強化が不可欠です。そのためには、政府による積極的な支援が求められています。

フードバンクの未来:持続可能な支援体制の構築に向けて



フードバンクは、経済的に困難な世帯を支える重要な役割を担っています。しかし、現状では、その活動を支える体制に課題が多く存在します。持続可能な支援体制を構築するためには、以下のような取り組みが重要です。

食料寄付の促進: 企業や個人の協力を得て、食料寄付を促進する必要があります。食品ロス削減の取り組みと連携することで、より多くの食料を確保できる可能性があります。
ボランティアの確保: フードバンクの活動は、多くのボランティアの手によって支えられています。ボランティアの確保と育成は、持続的な活動のために不可欠です。
公的支援の拡充: 政府による財政的支援や政策的支援は、フードバンクの活動を支える上で非常に重要です。組織基盤の強化や人材育成のための支援を拡充する必要があります。
広報活動の強化: フードバンクの活動内容や重要性を広く社会に伝えることで、理解と協力を得ることが可能になります。

フードバンクは、単なる食料支援団体ではありません。社会の安全網としての役割を果たしており、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献しています。これからも、社会全体でフードバンクを支えていくことが重要です。

会社情報

会社名
一般社団法人全国フードバンク推進協議会
住所
東京都豊島区池袋2-61-4エヌアイビル3階
電話番号
03-6912-9444

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