現代サーカスが挑むSNS時代の課題
現代社会は情報が氾濫し、意見の対立が深まっています。このような背景の中で、東京都世田谷区のシアタートラムにて上演される新作『トゥ・ルート・ディレクトリ』は、SNS時代における「分断」をテーマにしています。これは、現代サーカスカンパニーRoom Kidsが身体表現と映像、ジャグリングを駆使して挑む作品です。
全く新しい身体表現の試み
『トゥ・ルート・ディレクトリ』では、ジャグリングとメディアアートが融合し、私たちが抱える「境界」を問い直す試みがなされています。ジャグリングの道具や昭和の懐かしい物品が舞台でどのように存在し、表現されるのか。それは具体と抽象、リアルとデジタル、感情とデータといった相対する概念をも再構築する場を提供します。ジャグリングはただのパフォーマンスではなく、身体的な表現を通じて私たちの思考を届かせるのです。
現代サーカスの新たな解釈
多くの方が持つサーカスのイメージは、派手なテントでの超人的なパフォーマンスです。しかし、Room Kidsが目指すのは、フランスを筆頭に進化してきた「現代サーカス」です。そこでは、サーカスの技術が感情や思想を表現する手段として用いられ、舞台芸術や現代美術、身体表現が融合した新しいジャンルとして成立します。今回の作品も、その象徴的な一つであり、「具体と抽象は二項対立ではない」というメッセージが体現されています。
10周年を迎えたRoom Kidsの挑戦
Room Kidsは、2025年に設立10周年を迎えました。これを機に、同社はエディンバラ・フリンジでの受賞経験を元に、さらなる挑戦を繰り広げます。今回は世田谷区の後援を受けつつ、舞台美術に関してクラウドファンディングを実施し、170%の目標を達成したことで、舞台規模を拡大。多くの観客とつながるための新たな試みを行っています。
誰もが楽しめる観劇体験の提供
また、Room Kidsは新たな観客層との接続にも挑戦を続けています。アーツカウンシル東京からの助成金を受け、視覚・聴覚に対するサポート体制を充実させ、初めて現代サーカスを観る人でも安心して楽しめるような企画も進行中です。詳細のサポート体制構築や公演後のアフターイベントも計画されています。
鑑賞者の声を活かしたプロモーション
7月11日からは、過去の作品を観た観客から「観た人の声」キャンペーンをSNSで実施し、観劇未経験者にも作品の魅力をリアルに届けようと奮闘しています。観客の生の言葉が、これからの観劇体験をどのように豊かにするのか、期待が膨らむばかりです。
公演情報
Room Kidsの『トゥ・ルート・ディレクトリ』は、2025年8月22日(金)から24日(日)までシアタートラムで上演されます。チケットは2025年5月18日から発売されており、多くの観客の訪問を未然に期待しています。
これからの新しいサーカスの形、そして現代社会へのメッセージを、是非観劇を通じて体験してみてはいかがでしょうか。詳細な情報は公式サイトやSNSで確認できます。