不便の向こうにある“生きる力”
1. 課題提起: 子どもたちの主体性の減少
近年、子どもたちが「自分で考え行動する自信」が低下していることが、文部科学省の調査により明らかになりました。特に、小中学生の約45%が自信がないと回答し、70%以上が「正解を求めて動くことが多い」と感じています。これは学校教育にとどまらず、大人たちが便利さを追求するあまり、子どもたちの学びの機会を減少させている可能性があるのです。
2. 行動のきっかけ: こども村づくりの誕生
この課題意識を背景に、加東市にある古民家を拠点とした「こども村づくり」が始まりました。この地域の不便さが、かえって子どもたちに考えさせ、協力し合う力を与えてくれるのです。また、地域社会においては、大人の視点からの発信が多く、子どもたちの声が届きにくい現状が存在します。そこで私たちは、新たな質問を投げかけました。子どもたち自身が地域づくりに関わる機会を増やすべきではないかと。
3. 取り組み内容: 共育型の活動
「こども村づくり」は、古民家を活用した共育型の学びの場です。具体的には、床を自分たちの手で作ることや、大型のガチャガチャを作成し、大阪万博に展示するなどの活動が行われています。「やってみたい」を実現する中で、木工や農作業、地域交流などを通じて子どもたちは自ら企画し、手を動かしながら“生きる力”を育てています。
大人は単に教える存在ではなく、共に育むパートナーとして関与しています。この協力関係の中で、子どもたちは自分の言葉を持ち、主体性を育んでいます。
4. 成果: 1年での変化
活動開始から1年で参加者は28人へと増加しました。参加した子どもたちの中からは、「勉強が嫌いだったけど、生活を支えるためには勉強が必要だとわかった。だからもっと学びたい」という声が聞かれました。こうした声は、単に机上の学びではない、生きた学びが行われている証です。
5. 今後の展開: こども村の未来
今後、地域企業や行政とのつながりを強化し、子どもたちが発信するプロジェクトをさらに広げていく予定です。教育や福祉、ビジネスといった枠を超えた新しい学び方を、加東市から全国に広めることで、不便の中にある“生きる力”を次世代に引き継いでいきます。
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