新たな挑戦を続ける刺繍工場、株式会社グレイスエンブ
1942年に創業された株式会社グレイスエンブは、東京・足立区に位置する都内最大の刺繍工場です。技術革新と挑戦を続ける同社は、2025年2月12日から14日まで、東京ビッグサイトで開催される「第99回東京インターナショナルギフト・ショー」に出展します。
会社の歴史と成り立ち
グレイスエンブは昭和57年に足立区興野で事業を開始し、平成20年には「足立ブランド」に認定されるなど、地域内の産業発展にも寄与してきました。現在、同社は20頭12色の高精度刺繍機をはじめ、サガラ刺繍やスパンコール刺繍、3D刺繍など多彩な手法を駆使し、様々な素材への刺繍加工を行っています。
「足立ブランド」との関わり
ただし、最初は「足立ブランド」のことをどう思ったのか、代表の岡部弘文氏は最初戸惑いを感じていたといいます。「本当にメリットがあるのだろうか」との疑念があったからです。しかし、「東京インターナショナルギフト・ショー」への出展の機会があったことで、これが転機となり、同ブランドに参加することを決意しました。岡部氏の徹底した準備と、170万円の刺繍機の購入は、実演を通じて集客につながり、売上の向上にも寄与しました。
時代を読み、革新を進める
当地に生まれ育った岡部氏は、スリッパ製造業を経て刺繍加工業へ進出しました。自動車メーカーで得た生産管理技術を活用することで、スリッパ製品の生産は一時的に好調を見せましたが、和装離れや地方メーカーの進出により厳しい状況に直面します。この危機を乗り越えるため刺繍製品への移行を決意。刺繍機の導入により、外注依存から自社生産へと舵を切りました。
市場ニーズに応える技術力
今や、クオリティとスピードを兼ね備えた刺繍加工が才能として評価されています。岡部氏は「刺繍加工を通じて、お客様の要望には常に耳を傾けています。また、自社で独自の技術を開発することで他社との差別化を図っています」と語ります。国内での生産が年々減少する中、同社は品質の高いプロダクツを提供し続けることで、顧客からの信頼を得ているのです。
新しい挑戦と未来への展望
現在、社員15人のグレイスエンブは、家族経営の温かみもあり、地域密着型の企業活動を行っています。岡部氏の二人の息子も参加し、次世代への引き継ぎを意識した生産体制を築いています。「今後も依頼内容にはきっと答えられるような技術力を持ち続けていきたい」と岡部氏は語り、さらなるチャレンジを続けることを誓います。
終わりに
東京インターナショナルギフト・ショーへの出展は、地域産業の発信活動としても意義深い試みです。岡部氏の「どんな素材でも刺繍が可能」という言葉には、その背景にある情熱と技術への自信が表れています。これからも地元企業として、地域の発展に寄与していくことでしょう。