Laboro.AIとオムロンの共同プロジェクト
株式会社Laboro.AI(ラボロエーアイ)は、オムロン株式会社と共同して、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の設計コードを生成するAIを開発しました。このプロジェクトは、製造業の深刻な人手不足を解消し、オートメーション化を進めることを目的としています。
背景
経済産業省の『2025年版ものづくり白書』によると、製造業はデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むものの、依然として深刻な課題が山積しています。特に、熟練エンジニアの不足が大きな問題あり、技術者の高齢化や労働人口の減少から、必要な人材の確保が難しくなっています。このような課題に対処するため、オムロンは「Shaping the Future 2030」という長期ビジョンのもと、新しいオートメーションの実現に向けた取り組みを進めています。その一環としてLaboro.AIと連携し、製造業の効率化を目指しているのです。
開発内容
今回のAIは、設計者が自然文で指示を入力すると、それに基づいて必要なコーディングを自動的に生成します。このシステムは、以下のような2つの重要な機能を持っています。
1. リファレンス探索の自動化
エンジニアが仕様書をチャット形式で質問すると、AIは関連するハードウェア情報やPLD(プログラマブルロジックデバイス)に関する情報を抽出し、提供します。これにより、従来エンジニアが手作業で行っていたリファレンス情報の探索が大幅に短縮され、効率化が図られます。
2. コーディング作業の自動化
AIは抽出した情報を元に、エンジニアにコーディングのベースとなるサンプルを提示します。これにより、専門的な知識を必要とする工程が簡略化され、熟練者への依存度が下がることが期待されています。つまり、若手エンジニアでも質の高いコードを迅速に生成できる状態が実現します。
発表と評価
このプロジェクトの最新の成果は、2025年11月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催される「IIFES 2025(アイアイフェス)」にてお披露目され、多くの来場者から注目を集めました。AI技術の進化により、製造業の未来における新しい形が提示され、業界全体への影響が期待されています。
今後の展望
Laboro.AIは「すべての産業の新たな姿をつくる」をミッションに掲げ、AIを利用した本来的なDXの実現を目指しています。オムロンとの取り組みを強化し、さらなる機能の拡張を計画しています。AI技術開発によって製造業をはじめとする様々な業界の変革に貢献し、持続可能な社会の実現に向けて邁進していく方針です。
まとめ
Laboro.AIとオムロンの共同プロジェクトは、製造業の抱える深刻な人手不足に対する解決策を提供するだけでなく、産業全体の自動化と効率化を進める一助となるでしょう。今後の動向が非常に楽しみです。