医療廃棄物管理の未来を切り拓く「ＷＥＴＳ」システムの全貌

医療廃棄物管理の新たな一歩、ＷＥＴＳの導入

医療機関や関連業者にとって、大きな課題である医療廃棄物の管理。安全で効率的な廃棄物処理は、法的な要件の遵守や感染症のリスク軽減といった観点から特に重要です。そんな中、株式会社日本シューターとムラテッククリーンボックス株式会社は、医療廃棄物を個別に追跡管理できるシステム「ＷＥＴＳ（Waste Electric Trace System）」の開発・導入を発表しました。この新しいシステムは、電子マニフェスト制度との連携により、廃棄物の処理をさらに効率化し、リスク管理を強化します。

ＷＥＴＳの背景と必要性

医療廃棄物の処理については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律（廃掃法）」に基づき、排出事業者はその処理過程を自ら管理する責任があります。特に、血液の付着した医療資材や使用済みの注射針など、衛生面での管理が厳格に求められる廃棄物の扱いは慎重を要します。しかし、従来の管理手法は煩雑さやコスト面がネックであり、導入が進まない状況が続いていました。そこで、電子マニフェスト制度を利用した「ＷＥＴＳ」が登場し、個別追跡管理の実現が期待されています。

ＷＥＴＳの仕組み

「ＷＥＴＳ」は、医療廃棄物収集時にスマートフォンを利用して情報を自動で登録し、バーコード読み取りにより個々の容器を識別します。

1. 情報登録: 収集会社の担当者が、スマートフォンの専用アプリを使って容器の種類や数量、総重量を入力します。
2. データ送信: 登録した情報は、医療機関の承認を経てデータセンターに送信され、個別のシリアルナンバーも含めデータが蓄積されます。
3. 電子マニフェストへの連携: データセンターで処理された情報は、自動的に電子マニフェストシステム「ＪＷＮＥＴ」に登録され、手続きの手間を減らします。
4. 処理過程の記録: 廃棄物が処分場へ引き渡される際にもバーコードを読み取ることで、収集と引渡しのデータが照合され、処理過程が確実に記録されます。
5. 追跡・確認: 医療機関は、サーバにアクセスすることで、容器の処理状況や廃棄物の総量を簡単に確認できます。

ＷＥＴＳのメリット

「ＷＥＴＳ」を導入することで、医療機関は廃棄物の管理効率を格段に向上させることができます。医療機関がこのシステムを利用することで、処理の透明性が確保され、法律に基づく管理が容易になります。また、医療廃棄物収集運搬・処分会社にとっても、初期投資が少なくて済むため、コスト面での優位性が生まれます。これにより、円滑なサービス提供が実現し、医療機関と処分会社の双方にとってウィンウィンの関係が築かれます。