新潟市における救急搬送支援システム「NSER mobile」の導入
新潟市は、2025年1月から消防局においてTXP Medicalが提供する救急搬送支援システム「NSER mobile」を運用開始することを発表しました。このシステムの導入は、北陸・甲信越地域では初めてとなり、全国で6例目の本格運用として注目を集めています。
制度導入の背景
近年、新潟市内では救急車の出動件数が急増しています。令和5年の速報値では45,405件に達し、前年よりも3,086件増加しました。これにより、病院への収容時間が長くなり、傷病者の迅速な治療が求められています。この新しいシステムは、搬送までの時間を短縮し、エビデンスに基づく政策立案(EBPM)を進めることを目的としています。
NSER mobileの運用概要
救急搬送の効率化を図る「NSER mobile」では、各救急隊にタブレット端末が配備され、デジタル情報を医療機関と双方向でやりとりすることが可能になります。具体的には、新潟大学医歯学総合病院や新潟市民病院を含めた19の医療機関が参加しており、情報のリアルタイム共有が行われます。これにより、傷病者の状態を迅速に搬送先の病院に伝えることができます。
運用エリアは新潟市全域であり、人口は約76万人。これまでの電話や紙帳票による連絡手段からデジタルへと移行することで、搬送業務や情報の共有が大幅に改善されることが期待されています。
NSER mobileの特長
「NSER mobile」は、救急現場と搬送先医療機関の間でのスムーズなコミュニケーションを実現するために設計されています。タブレット端末で収集された傷病者の情報は即座に病院ナへ送信され、受け入れ準備を効率化します。また、事案情報、病歴、バイタルサイン、静止画など多様なデータの共有が可能で、医療現場の柔軟な対応をサポートします。
さらに、機能には情報の一斉照会や病院ごとの応需可否確認、事後検証機能などが含まれ、急性期医療におけるデータプラットフォームとしての役割も果たします。
TXP Medicalの理念
NSER mobileの開発を手掛けるTXP Medicalは、「医療データで命を救う」という理念を持つスタートアップ企業です。代表の園生智弘氏は現役の救急集中治療医であり、その経験を生かしながら先進的な医療インフラを提供しています。現在、全国79の大病院と連携してシステムを運用しており、救急隊向けのプログラムは年間1000万人以上の人々に利用されています。
新潟市の救急医療がこの新たなシステムの導入によって一歩前進することを、多くの市民が期待しています。