最近、エステー株式会社と近畿大学東洋医学研究所の協力により、月経前症候群(PMS)の緩和にトドマツ精油の香りが効果的であることが確認されました。この研究は、PMSが引き起こす身体的および精神的な不調が、女性の社会生活に与える影響が大きいことを背景としています。
PMSは、月経前に多くの女性が経験する症状で、腹痛や体の不快感、さらには気分の変化やイライラ感などが含まれます。特に、仕事や家庭生活に支障をきたすこともあるため、その緩和策が求められています。研究では、スティック型の練香水を用いて、さまざまな香調の緩香水を対象に、PMSの症状緩和効果を評価しました。
実験には、PMSに悩む20~39歳の女性100人が参加し、ラベンダー調の香料およびトドマツ精油を配合した香料による評価が行われました。結果として、トドマツ精油を含む香水はいずれの香調においても、ブランクの状態と比較してPMS症状が有意に改善されることが確認されました。特にトドマツ精油を配合した場合、緩和効果がさらに高まる傾向が見られました。
この研究の背景には、針葉樹の香りがストレス緩和に寄与することが報告されていることがあります。香りによる効果は心と体の両方に影響を与え、その結果、PMS症状の軽減に役立つ可能性があるのです。
近畿大学東洋医学研究所の武田所長は、PMSによって引き起こされるさまざまな症状について深く掘り下げ、非常に多彩な症状が存在することを指摘しました。また、日本では中等度から重度のPMSやPMDD(重症型のPMS)を抱える女性が多いにも関わらず、治療を受けている方は少ないと述べています。国の規模でPMSに対する理解が求められ、対策が取られるべきであるとも発言しています。
具体的な対策には、規則正しい生活や睡眠管理、食生活の見直しが重要です。さらに、香りを上手に取り入れることも有効であり、研究で用いたスティック型練香水はその使い勝手の良さから日常生活に取り入れやすいとされています。これにより、軽度の症状であれば、まずは香りでの緩和を試みることが推奨されます。
最後に、重度のPMS症状に悩む方には専門医への相談が重要です。職場環境においても、PMSへの理解が不足しているケースが多々見受けられるため、社会全体での正しい認識が必要です。今後、トドマツ精油を利用した商品がウェルネス分野で展開されることが期待されます。香りの力を信じて、PMSに向き合う一助になれば幸いです。