調査背景と目的
近年、男性の育児休業取得が促進されていますが、取得した後の環境やメンタルヘルスに関する実情はまだまだ十分に理解されていません。今回、株式会社Smart相談室が実施した調査によって、育休を取得し、同じ職場に復帰した男性416名を対象に実態を探りました。
調査結果の要点
1. 理想と現実のギャップ
調査結果によると、約4割の男性が理想的な育休期間を取得できず、その理由には「職場に迷惑がかかる」という懸念が多く挙げられました。実際に取得した育休の期間に対しても、約36.5%が「望んだ期間よりも短かった」と回答しています。これは職場全体の理解不足や配慮があることを示唆しています。
2. 育休復帰後のメンタルヘルス
育休から復帰した後、6割以上の男性が精神的な不調を感じていることが明らかになりました。不安感やイライラ、睡眠障害、意欲低下など、育児と仕事の両立によるストレスが影響を及ぼしています。これは、育休中に育児への意欲が高まっても、復帰後に業務の負担が増すことで感じるギャップが存在するためと言えるでしょう。
3. 相談環境の欠如
調査では、約70%の男性が職場やプライベートで相談できる環境が不十分であることを報告しています。特に、プライベートな悩みを職場で相談することへの抵抗感が大きな障害となっています。これにより、精神的な負担を一人で抱え込みがちであり、結果的にストレスが蓄積される環境が形成されているのです。
支援の必要性
男性が育休から復帰した後の支援については、「在宅勤務・テレワーク」が最も高いニーズを示しており、また業務量の調整も求められています。これらのニーズに応じた企業のサポート体制を構築することが求められます。
今後の方向性
育児休業は男性にとって新たな役割を果たす機会ですが、復帰後のサポートが不十分では、そのメリットが活かされません。企業は育休を取得しやすい環境を整えるだけでなく、復帰手続きから日常的な業務まで、男性の育児参加を支援するための実効性のある施策を講じるべきです。
さらに、職場では育児を支援する文化を根付かせる努力も必要です。上司が自ら育休を取得することで、部下が育休を取りやすい風土が作られるなど、リーダーシップによる環境改善が重要です。
まとめ
今回の調査は、男性の育児休業取得を進めることが、単に制度上の問題ではなく、復帰後の実態やサポートのあり方についても検討が必要であることを明らかにしました。これらの課題を理解し、積極的に改善策を講じることで、より多くの男性が安心して育児に参加できる社会を築いていかなければなりません。今後、男性の育休取得が進む中で、この結果を元にさらなる職場環境の改善が求められます。