脱炭素化を実現するクローラクレーンの実証実験
建築業界における環境問題は、近年ますます重要なテーマとなっています。その中で、旭化成ホームズ株式会社が実施する脱炭素化に向けた新たな取り組みが注目されています。同社は、東京都内の建築現場にて、電動駆動のクローラクレーンによる実証実験を開始しました。これは、建築現場でのCO2排出量を削減し、持続可能な施工方法を模索する試みの一環です。
1. 電動クローラクレーンの特徴と効果
旭化成ホームズは、古河ユニック株式会社と共同開発したクローラクレーンを、東京の一部の工事現場で使用しています。このクレーンはハイブリッド仕様で、軽油と電気の両方で駆動可能です。今回の実証実験では、初めて本格的に電動駆動を活用し、環境負荷の低減を目指します。
特に住宅地での作業を想定し、排気ガスの削減および騒音の低減を重視した設計となっています。これにより、従来のエンジンによる油圧源に代わり、AC200V電源によるモーター駆動の移動式パワーユニットが採用されました。この新しい技術により、住宅地や都市部など、厳しい施工条件においても静かでクリーンな作業環境を実現します。
さらに、再生可能エネルギーを動力源とすることで、クレーンからのCO2排出量は実質ゼロ近くまで削減可能となります。これは、エンジン駆動と一般電力による電動駆動と比較して、約64%のCO2の削減を実現することを意味しています。
2. 環境への取り組みと今後の展望
旭化成ホームズは持続可能な社会の実現に向けて、積極的な環境への取り組みを展開しています。2022年7月にはSBT(Science Based Targets)の目標を取得し、2024年8月からはHEBEL HAUSで建設された新築現場に再生可能エネルギーを供給する予定です。
さらに、建築現場での環境負荷を低減する目的で、外構や設備工事に使用するバックホウの電動化にも取り組んでいます。なお、2024年6月からはこれに関する実証トライアルを開始し、2024年10月には一部サプライヤーへの再生可能エネルギーの供給も始まります。
これらの取り組みは、建築現場の脱炭素化を進めるための土台を築くものです。現在行われている実証実験では、作業者の健康や近隣住民への騒音軽減効果の検証を行う予定であり、これによりさらなる環境への配慮が期待されます。
3. まとめ
旭化成ホームズの取り組みは、建築業界における脱炭素化の新たな一歩を象徴するものです。電動駆動のクローラクレーンを活用することで、建築現場の環境負荷を大幅に削減し、持続可能な施工方法の確立を目指しています。これからも同社の新たな技術や取り組みに注目が集まることでしょう。