飢餓の現状と私たち
2024-07-30 19:18:30

新たな報告書が示す世界的な飢餓の現実と私たちの責任

飢餓と栄養不良、迫る世界の危機



2024年7月24日、ブラジルのリオデジャネイロで発表された最新の報告書『世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)』は、世界が抱える飢餓や栄養不良の深刻な現状を浮き彫りにしました。ユニセフを含む国連の5つの専門機関によるこの報告書によれば、2023年には約7億3,300万人の人々が飢餓に直面しており、これは世界人口の約11人に1人という驚異的な数字です。さらには、アフリカでは5人に1人が飢餓の危機にさらされている状況にあります。

現行の飢餓状況の分析



この報告書は、飢餓の水準が3年連続で高止まりしており、飢餓問題の進展が著しく鈍っていることを警鐘として伝えています。特にアフリカ地域では、20.4%の人々が飢餓に直面しており、これは増加傾向にあります。一方、アジア地域では飢餓の割合は8.1%となっており、実際には世界中の飢餓人口の半数以上がアジアで生活しています。

このような背景の中で、報告書は2030年までにSDGs目標2「飢餓をゼロに」を達成するために、今後も大きな努力が必要であるとしています。特に予測では、慢性的な栄養不足に陥る人々は5億8,200万人に達する可能性があり、その半数はアフリカ人とされています。この実態は、進捗の停滞を示すもので、世界の栄養不足は2008年から2009年の水準に逆戻りしています。

食料不安が情勢を悪化



全世界で中程度から重度の食料不安を経験している人は約23億3,000万人に及び、そのうち深刻な食糧不足を経験しているのは8億6,400万人以上に達します。この状況は新型コロナウイルスのパンデミック後も改善されず、特にアフリカでは人口の58%が食料安定性に悩まされています。

さらに、健康的な食事へのアクセスも問題であり、2022年には28億人以上が経済的に健康的な食事を得ることができませんでした。特に低所得国においてこの問題が深刻で、高所得国における6.3%に対し、低所得国では71.5%の人々が健康的な食事を取る余裕がないという現実があります。

【栄養のトリプルバインド】



栄養不良の現象は複雑です。乳児の完全母乳育児率は48%に達するも、未だ多くの栄養問題が存在します。肥満の新たな推計値も増加しており、成人の肥満率は2012年の12.1%から2022年には15.8%へ上昇しています。2030年までに成人の肥満者は12億人を超える見込みです。

このことは、栄養不良が深刻な問題であり、飢餓と肥満が同時に発生するという「双子の課題」を抱えていることを示しています。このような現状を打破するためには、飢餓を根本的に解決するための戦略が必須です。

資金調達の強化が急務



報告書は「飢餓、食料不安、すべての形態の栄養不良をなくすための資金調達」をテーマに掲げており、これには農業食料システムの改革や、すべての人々に手頃な価格で健康的な食事を提供することが求められています。ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、資金が不足している現状を強調し、飢餓を撲滅するための革新的な資金調達が必要だと訴えています。

未来への展望



本報告書は、国際的な解決策を模索する必要があることを指摘しています。急増する食糧不足や栄養不良の影響を受けている国々において、革新に基づいた、公平な解決策が求められているのです。投資が将来の世代に良い形で還元されるためには、持続可能な開発目標の実現を目指した政策が急務となります。これにより、全ての人々が栄養と食料の権利を手に入れるための環境が整えられることでしょう。

この問題を解決するためには、私たち一人一人が問題に目を向け、行動を起こすことが求められています。飢餓撲滅のために、私たちがこの複雑な問題にどう取り組むべきかを再考する必要があります。


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会社情報

会社名
公益財団法人日本ユニセフ協会
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東京都港区高輪4-6-12ユニセフハウス
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