イェール大学出版局が新たに提案する美術の教科書
2023年8月23日、株式会社すばる舎からリリースされた『若い読者のための美術史』は、イェール大学出版局の「リトル・ヒストリー」シリーズの第9弾です。この書籍は、高校生や大学生、そして幅広い大人たちが芸術に触れることができる絶好の機会を提供します。
著者のシャーロット・マリンズは、ロンドン大学のコート―ルド美術研究所で学び、現在も美術評論家として非常に多様なメディアで活躍しています。また、翻訳を担当した下田明子氏は、長年にわたり専門的な翻訳を手掛け、多くの国際的な書籍を日本に紹介してきました。
本書の魅力とは?
本書は、200点以上のカラフルな美術作品の画像がふんだんに使用されており、見る者を惹きつけます。美術作品が感情を呼び起こす力は計り知れませんが、制作された時代や環境により、受け取られ方も大きく異なることが本書の中心的なテーマです。
本書を通じて、21世紀のグローバル社会において美術が果たす役割や、歴史の中でのさまざまなアーティストたちの物語を理解することができます。特に、兵馬俑やノックの彫刻から、ルネッサンスの巨匠たち、さらには現代アートの先駆者たちまで、多様な芸術家たちの生き様や作品が豊かに語られています。
各章の内容
書籍は全40章で構成されており、目次には多種多様なテーマが並んでいます。「最初の痕跡」から始まり、「神を崇める芸術」「プロパガンダとしての芸術」「印象派」「戦争の余波」に至るまで、各章が美術史の髄を凝縮しています。
特に注目すべきは、「抵抗としての芸術」という章です。ここでは、アイ・ウェイウェイやシリン・ネシャットといった現代のアーティストが社会と干渉し、アートを通じてメッセージを届ける方法について考察されます。
おわりに
『若い読者のための美術史』は、ただ美術作品を鑑賞するだけでなく、背後にあるストーリーや、様々な歴史的コンテクストを理解するためのガイドブックでもあります。美術に対する新たな視点を提供し、若い世代に美術の魅力を伝える一冊として、必見です。定価は3600円で、書店やオンラインで手に入れることができます。