オムロン サイニックエックス株式会社と青山学院大学が共同で進めている、バーチャルリアリティ(VR)に関する最新の研究が、2025年にフランスで開催される国際会議「IEEE VR 2025」で発表されます。
この会議は、VRだけでなく、AR(拡張現実)やMR(複合現実)など、様々な現実感の体験に関する先端の研究成果が集まる注目のイベントです。2025年3月8日から12日まで開かれる予定で、各国の研究者が集まり最先端の技術について意見を交わします。
共同研究の内容
発表される研究論文のタイトルは「Transtiff: 硬軟変化可能なスタイラス型インタフェースを用いたバーチャル物体の硬軟知覚の再現」です。この研究の著者には青山学院大学から伊藤雄一研究室の岡津涼也氏、小倉歩氏、OSXから吉田茂雄氏、田中和俊氏が名を連ねています。
本研究では、VRで物体に触れる感覚をリアルに再現するための新しいアプローチが提案されています。従来、ユーザーがVR内の物体の硬さを感じるためには、実際に現実の物体を用意し、その硬さを調整する方法が一般的でした。しかし、今回の「Transtiff」技術では、スタイラスの剛性を制御することで、ユーザーが実際には感じない触覚の錯覚を引き起こすことを目指しています。
具体的には、スタイラスを操作する際の剛性を変えることで、視覚情報と組み合わせて実際の物体の硬さの感覚を再現することが可能となります。この手法により、例えば、硬い物体が柔らかく感じるといった錯覚を引き起こすことができ、さらなる没入感を提供します。
多様な応用可能性
この技術の可能性は非常に広がりがあります。VRゲームや遠隔操作において、よりリアルな操作感を実現することが期待されるほか、医療トレーニングでも実践的なシミュレーションを行う際に大きな力を発揮します。また、教育現場においても、物理学や生物学を学ぶ学生にとって、実際に触覚を通じて学びを深める新しい方法提供するかもしれません。
研究成果の詳細については、関連ページにある以下のリンクでもご覧いただけます。
オムロン サイニックエックスと青山学院大学の目的
オムロン サイニックエックスは、AIやロボティクス、IoT、センシングといった最先端技術を用い、社会的な課題を解決するための新しいビジネスモデルや技術戦略を研究し、未来のデザインを形作ることを目指しています。また、青山学院大学は、他者や社会のために行動することを大切にし、教育機関としての役割を果たすべく努力を重ねています。
両者の共同研究から生まれる革新が、どのように未来の技術への架け橋となるのか、今後の展開に大いに期待が寄せられています。