ザンビアの医療現場にN95マスク寄贈、結核対策に貢献
結核の感染拡大が懸念される中、認定NPO法人ロシナンテスがアフリカ・ザンビアの病院にN95マスクを寄贈しました。寄贈されたマスクは、株式会社モレーンコーポレーションから提供された960枚で、地域の医療従事者の安全を守る一助とされています。
結核医療活動の背景
ロシナンテスは、ザンビアの複数の医療施設で結核患者の早期発見を目指して活動を行っており、特にポータブルX線装置を用いた検査が中心です。この取り組みの結果、結核の疑いのある患者が増加しており、待合室での感染リスクも懸念される状況です。医療施設では一般外来の患者と結核の疑いのある患者が同じ待合室にいる場合も多く、環境改善が急務とされています。
患者待合室の改良
ロシナンテスでは、患者待合室の環境改善に取り組み、地域の保健局と協力することで様々な改善策を協議中です。しかし、それが実現するまでの間、感染拡大を防ぐためにN95マスクの配布を計画しています。このようなマスクの寄贈が行われることで、患者や医療従事者の安心が少しでも高まることを期待しています。
マスクの導入状況
2025年2月には、ザンビアの医療施設でN95マスクの試験導入が行われ、サイズ調整が容易なマスクが現地で好評を得ました。4月にはリテタ郡病院の結核診療所での使用が開始予定です。ここでは、結核の疑いがある患者や特に感染リスクが高い小児、高齢者、妊婦にマスクが配布される予定です。
寄贈マスクの仕様
寄贈されたN95マスクは、アジア人800人の顔に合わせて3Dスキャンにより設計されており、多くの人にフィットすることが特徴です。難燃性レベルも高く、液体防御性能も優れています。感染症対策として、このような高性能なマスクが役立つことが期待されています。
ザンビアにおける感染症の現状
ザンビアでは、結核が依然として深刻な問題であり、年間約5.9万人が感染しています。特に結核はHIV感染者に多く見られ、両者の重複感染が問題となっています。最新のデータによれば、2021年には新規結核感染者の34%がHIV感染者でした。しかし、早期発見や適切な治療により、約8割の患者が完治することも可能です。
結核早期発見の重要性
結核の早期発見には、X線検査が不可欠です。しかし、医療施設によってはX線装置の設置が限られており、結果として多くの患者が見逃されてしまっています。このため、X線検査へのアクセスを改善するためのプロジェクトが必要です。
ロシナンテスは、富士フイルムの協力の下、ポータブルX線撮影装置を利用したプロジェクトを展開し、見逃されている患者の早期発見に寄与しています。
結論
結核感染のリスクを軽減するため、ロシナンテスが行うN95マスクの配布と医療環境の改善は、今後のザンビアにおける感染対策の一助となるでしょう。医療従事者と患者が安心して医療を受けられる環境を作るために、今後も持続的なサポートが必要です。