2024年度の企業不動産売買動向
ククレブ・アドバイザーズ株式会社のシンクタンク、ククレブ総合研究所が2024年度の企業不動産(CRE)動向について独自調査を実施しました。この調査は、上場企業3,962社を対象に行われ、100社が不動産売却を行ったことが報告されています。この報告書では、売却の背景や特徴を詳細に解説します。
1. CRE戦略と資本効率の向上
近年、企業が不動産を資本効率向上の手段として積極的に活用する傾向が見られます。2024年度には、上場企業の2.5%にあたる100社が不動産を売却しました。これは前年度の水準を維持しており、コロナ禍での混乱が収束しつつあることを示しています。企業は、アセットライト化や資産効率の改善を目指し、戦略的に不動産売却を進めています。特に多くの企業が「財務体質の改善」を理由に売却を行っています。
2. 売却アセットに見られる変化
不動産の売却傾向を分析すると、特に福祉施設の需要が顕著に増加しています。過去数年間、福祉施設に関するセールアンドリースバック取引が微増していましたが、2024年度においてはその割合が7割近くに達しました。これは、老齢化社会が進行する中で、高齢者向けの介護施設や障害者施設の需要が高まっていることを反映しています。これにより、売却されるアセットの内訳も変化しており、業界が抱える課題に対応した動きが見られます。
3. 不動産取得の背景と設備投資
売却動向に続き、2024年度における不動産取得も注目されます。調査によると、合計72社が81件の不動産を取得しました。これは、2018年度以降で最も多い数字で、自社利用の工場新設や設備投資に8割以上が充てられています。特に再生可能エネルギー事業に関与する企業が新たに発電所や蓄電池用地を取得する傾向が見られ、企業はもはや単なる不動産の所有者ではなく、事業の拡張を目指すパートナーとしての役割を担っています。
4. 企業の仕組みにおけるCREの重要性
これらの動向は、企業の経営戦略における不動産の位置づけの変化を象徴しています。企業不動産(CRE)は単なる資産ではなく、企業の経営全般に影響を与える戦略的な要素となっています。ククレブは、各企業が自社の戦略にあった不動産活用方法を見出すことが重要であると強調しています。
結論
2024年度の企業不動産に関する調査は、さまざまなビジネス環境の変化に企業がどう対応しているかを浮き彫りにしています。CRE戦略は、企業の成長を支える重要な要素であり、今後のビジネスの健全な発展には欠かせない存在です。この調査結果が示す市場の動向を注視し、適切な判断を行うことが求められています。