坪本知恵の初個展「間の形 – undetermined forms –」
2023年6月、東京・天王洲に位置するYUKIKOMIZUTANIで、注目の若手アーティスト、坪本知恵の初めての個展が開催されています。この展覧会は、安藤正楽の「日露戦役記念碑」との出会いからインスパイアを受けた作品が並ばれています。
日露戦役記念碑との出会い
坪本にとって「日露戦役記念碑」は、ただの石碑ではありません。愛媛県四国中央市の八坂神社境内にあるこの石碑は、政治的、歴史的背景から文字が消失したまま次世代へと受け継がれているものです。彼女は、この不完全さが持つ意味に心を奪われ、作品制作のインスピレーションとしています。
作品の特徴
坪本の作品は、「Inscription」と名付けられたシリーズを中心に展覧されており、それぞれが独自の視点で言葉の消失と再認識をテーマにしています。特に注目すべきは、2023年制作の各F100サイズ作品であり、パネルに綿布、膠、顔料を駆使して文字が何度も塗り重ねられています。その結果、意味が読み取れない形となっているものの、白い下地に隠れた「とめ・はね・はらい」の部分からは、かつての言葉を感じ取ることができます。
坪本は、過去の記憶が「伝わる」と「伝わらない」の間を揺れ動いているとも語り、不確定で不安定な現実とどのように向き合うかを模索しています。作品全体を通じて、彼女のフィロソフィーが見えてくることでしょう。
展示情報
個展「間の形 – undetermined forms –」は、2023年6月16日から7月8日まで開催されます。オープニングレセプションは初日の6月16日、17時から19時に行われ、一般観覧は火曜日から土曜日の12時から18時までです。日曜日、月曜日、祝日は休廊となります。
開催概要
- - 場所: YUKIKOMIZUTANI
- - 住所: 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA ART COMPLEX Ⅱ 1F
- - 会期: 2023年6月16日(金)~7月8日(土)
- - 時間: 火曜~土曜|12時~18時
作家プロフィール
坪本知恵は1997年に愛媛県で生まれ、2020年には京都芸術大学美術工芸学科を修了しました。言葉の保存と伝達をテーマにした作品を制作しており、最近の作品は安藤正楽による日露戦争記念碑からインスピレーションを受けているとのこと。彼女は現在、京都を拠点に活動を続けており、多くのコンクールでも評価されています。
この個展では、坪本知恵の新たな視点を体感できる貴重な機会です。ぜひお見逃しなく!