組織の成功を導く「PRAISE CARD」の実証実験報告
近年、企業がエンゲージメントを重視する中、エンゲージメント向上をサポートするアプリサービス「PRAISE CARD」が注目されています。このサービスに基づく実証実験が、東京女子大学の正木郁太郎准教授の監修のもとに実施され、称賛活動による組織改善の効果が明らかになりました。
実証実験の目的と背景
「PRAISE CARD」は、組織内での称賛を通じて、職場環境を向上させることを目的としたサービスです。人的資本経営が進む中、エンゲージメント調査を行う企業は増えていますが、調査結果を適切に活用できない企業も多く見受けられます。特に、感謝や称賛の重要性が理解されていても、その効果を数値化できないために実践しないケースも少なくありません。このような背景の中、実証実験を通じて感謝と称賛の定量的な効果を示すことを目的としました。
実証実験の実施概要
2024年度に、エンゲージメントサーベイを実施した組織を対象に、PRAISE CARDの利用状況とその影響を調査しました。調査は、エンゲージメントサーベイを通じて得られたスコアを元に行われ、分析対象は約50の組織でした。具体的には、エンゲージメントサーベイは2024年6月と2025年1月に実施され、その間のPRAISE CARDの利用データを収集しました。
調査結果
実証実験の結果、以下のような重要な発見がありました。
1. 従業員の関係質の向上
PRAISE CARDを活用し、称賛活動に取り組む組織では、従業員が自分の存在や貢献を認められていると感じるスコアが向上する傾向が見られました。特に、積極的に称賛する上司がいる組織では、従業員が歓迎され、尊重されているとの認識が高まりました。これは、上司が部下とのポジティブな関係を築くことで、組織全体の雰囲気を良好に保つ要因となっています。
2. 自発的な行動の促進
称賛活動を実施している組織では、スタッフの自発的な行動が促される傾向が示されました。このことが、ビジョンの共有や組織変革を促すために重要であると考えられています。称賛する文化が根付くことで、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する風土が醸成されると推測されます。
3. パーパスの浸透
PRAISE CARDを通じた称賛活動により、企業の理念(パーパス)が従業員に浸透しやすくなることも確認されました。これにより、従業員は自身の役割や貢献が企業の理念と結びつくことを実感しやすくなると考えられています。
今後の展望
博報堂コンサルティングは、今後も「PRAISE CARD」を活用して、組織マネジメントにおける感謝や称賛の重要性をさらに深掘りしていく考えです。また、エンゲージメントスコアとの相関を解明することを目指し、組織の価値を高めるためのデータ分析にも力を入れていく予定です。
このように、PRAISE CARDを導入することは、職場のモチベーション向上や組織全体のパフォーマンス改善に寄与する結果が期待されます。従業員が気持ちよく働ける環境を作るための一助として、今後ますます注目されるサービスになっていくでしょう。