宇宙という極限の環境で培われた経験は、ビジネスの現場でも生かせる。JAXAの地球観測衛星「だいち4号」のプロジェクトマネージャーである有川善久氏の初著書『導く力 プロジェクトマネジメントで大切なことは宇宙が教えてくれた』は、2025年10月29日に発売される。この本では、プロジェクト成功のための「導く力」がテーマとなっており、宇宙開発の現場から得た知見をもとに、ビジネスパーソンにとって必読の内容となっている。
本書は、JAXAが手がけた数々のプロジェクトの中でも特に重要な「だいち4号」の開発に焦点を当てている。宇宙開発のプロジェクトがなぜ「絶対に失敗できない」と言われるのか、その理由が本書を通じて明らかにされる。計画段階から実行、評価に至るまでの各ステップが、具体的かつ系統立てて解説されており、読者は現場感覚と大局観を持ったリーダーシップの重要性を理解できるだろう。
著者の有川氏は、東京大学大学院で航空宇宙工学を修了後、JAXAに入社。数々の大型衛星プロジェクトに携わり、特にALOS-2「だいち2号」やALOS-4「だいち4号」の成功に向けて、数々の挑戦を経験してきた。その中で、プロジェクトを管理するために必要なスキルや知識は、宇宙開発だけでなく、あらゆるビジネスに応用できることを示している。
書籍は全5章で構成されており、各章はプロジェクトマネジメントの重要な要素を解説している。
第1章では「成功に導くために必要な基本スキル」を取り上げ、基礎からしっかりと理解することができる。第2章でプロジェクトの要求とリスクを把握する方法を学び、第3章では実行段階へのスムーズな移行を図るためのポイントが紹介される。第4章ではプロジェクトの安定運営を図るための戦略が解説され、最後に第5章では理想のリーダー像が描かれ、プロジェクト成功に向けてのビジョンが提示される。
有川氏の姿勢は、単にプロジェクトを管理するのではなく、リーダーとしてチームの力を最大限に引き出すことにある。そのためのスタンスや葛藤、喜びも描かれ、宇宙開発の裏側を知る貴重な内容となっている。ビジネスの世界においても、有川氏の経験から得られる教訓は多岐にわたり、プロジェクトマネジメントの課題解決に役立つこと間違いない。
本書は、全国の書店やオンラインストアで手に入れることができる。宇宙という壮大な舞台を背景に、プロジェクトマネジメントの本質に迫る一冊を通じて、多くのビジネスパーソンが新たな視点を得ることを期待したい。著者の有川氏の豊富な経験とその知見を詰め込んだ『導く力』は、まさしく現代のビジネスシーンにおいて必要不可欠な指南書となるだろう。