目覚めた名作『夏の約束』、令和に蘇る珠玉の短編集

名作が令和に蘇る！『夏の約束』重版企画

2025年7月15日、株式会社有隣堂が運営する「STORY STORY YOKOHAMA」から、藤野千夜による芥川賞受賞作『夏の約束』がリクエスト重版として発表されます。今回の企画は、現代の読者に向けて作品の魅力を再発見する試みとして、多様性が求められる現代社会で、改めてこの作品を紙の本として届けたいという強い思いから生まれました。特に、名智理店長がこの重版を提案した背景には、マイノリティへの社会的受容が進む中で、作品のメッセージがいかに重要かを再確認したいという気持ちが込められています。

『夏の約束』の魅力

『夏の約束』は2000年に発表され、芥川賞を受賞した作品です。この短編集は、異なる価値観を持つ人々の明るい日常を描写することで、多様性を受容することの重要性を訴えています。特に、当時は社会的にマイノリティへの理解が不足していたため、作品の価値が広く浸透しなかったことを考えると、この重版はまさに時代が求めるものといえるでしょう。

特別な仕様

今回のリクエスト重版には、独自の仕様が盛り込まれており、以下の特徴があります。

1. 新デザイン「全帯」仕様：作品の特徴を柔らかく再表現したイラストがカバー全体を包み込み、横浜の魅力を感じられるデザインとなっています。これは地域性と新鮮さを兼ね備えた作品として、読者にさらなる印象を与えることでしょう。

2. 有隣堂限定版：カバーの一部がターコイズブルーでデザインされた限定版が登場。通常の「白帯」とは異なる魅力を持つこのバージョンは、デザイン性の高さと希少性が特典といえます。

3. 書き下ろしショートストーリー：帯の裏面には、藤野千夜氏による待望の書き下ろし後日談が収められています。ここでは、藤野氏の人気作『団地のふたり』のキャラクターがクロスオーバーする夢のような内容となっており、ファンにはたまらない特典です。

書店の役割

「STORY STORY YOKOHAMA」の名智店長は「この作品を通じて、多様性が自然に受け入れられる社会へと繋げていきたい」と語っています。現代においては、新刊に埋もれがちな良書をいかに優れた形で提供できるかが、書店の使命とも言えます。今後も、有隣堂として地域や社会に必要な本を提案し続ける姿勢が求められています。