ビジネスパーソンの上司への憧れが低い理由とその背景
最近、米国のビジネス界では「上司への憧れがわずか13%」という驚くべき調査結果が発表されました。この現象は、多くの企業において、上司と部下間のコミュニケーションの不全や期待のギャップが影響しています。特に、MENTAGRAPH株式会社の調査によると、「上司・部下への期待」や「マネジメント観」に関する認識のズレが顕著となっています。
調査の概要と結果
株式会社MENTAGRAPHは、全国のビジネスパーソン1,800名を対象に「働き方と組織意識に関する調査」を実施しました。この調査には管理職と非管理職がそれぞれ900名ずつ含まれ、その結果、双方の意識には明確な違いが存在することがわかりました。特に株式会社の方針に対する理解度や、それに基づく行動において、管理職と非管理職の間に大きなギャップが見られたのです。
理解のギャップ
調査では、管理職が「会社の方針を詳しく理解している」と答えたのは15.8%で、非管理職は9.0%でした。また、「やや当てはまる」とする回答は、管理職が42.8%、非管理職が32.4%ということが明らかに。総じて見えるのは、管理職と比べて非管理職は会社の方針への理解が乏しいことです。これにより、会社の方針を意識して行動する非管理職は少なく、管理職の43.8%に対して非管理職では32.8%と約11ポイントの差が存在しました。
この理解の欠如は、「なぜこの方針があるのか」「自分の仕事とどのように結びつくのか」という疑問に対して、十分な説明がされていないことが影響していると考えられます。非管理職が方針を理解する機会が限られているため、逆に行動への意欲も減少し、社内の連動性が低下しています。
上司への期待のギャップ
さらに、調査では「上司が求められる役割」に関する意見にも差異が見られました。非管理職はより直接的なサポートを求める傾向が強く、例えば「上司はわからないことを事前に教えるべきだ」と感じる割合は、管理職で34.9%、非管理職で46.9%という結果です。このような求められるサポートのスタイルが管理職の思い描くマネジメント像からずれていることも、非管理職の上司への憧れの低さに影響しているのかもしれません。
また、「上司は手取り足取り教えるべきだ」という考えに関しても、管理職は31.5%に対し、非管理職では40.3%と、上司のサポートスタイルに対する期待が明らかに異なっていました。これらの違いが、上司への評価に大きな影響を与えており、非管理職の約6割が「自分に合った仕事を振るべきだ」と考えても、その期待が上司には伝わっていない現実があります。
結論:意識の可視化とすり合わせが必要
調査結果は、上司を利害関係者として捉え、双方が「良かれ」と思って行動していても、必ずしもその意図が伝わるわけではないことを示しています。企業においては、こうした意識のギャップを可視化し、上司と部下間で交流の機会を増やしていくことが、よりよいマネジメント環境の構築につながるといえるでしょう。これにより、非管理職も上司への憧れを抱きやすくなり、全体の組織意識の向上が期待されるのです。