山梨県農業共済組合、獣医療業務をDX化する新ツール導入
山梨県農業共済組合(NOSAI山梨)が、地域の獣医療の質を向上させること、そして業務効率化を目的にデジタルツール「U-メディカルサポート」を導入しました。この新システムは、デザミス株式会社及び株式会社スカラコミュニケーションズの協力のもと開発され、家畜診療の全面的なサポートを意図しています。
導入の背景
NOSAI山梨では、これまで家畜共済事故を低減させる情報を集約・管理するため、LAC(家畜共済事故低減情報)システムを導入しており、そのおかげで診療履歴などの電子化が進みました。この結果、診療所業務の情報整理や共有がかなり改善され、業務の効率化にも貢献してきたのです。しかし、実際の現場では往診先でのデータ入力や情報参照のニーズが高まっており、働き方改革に伴うさらなる業務効率化が求められていました。これらの課題をクリアするため、NOSAI山梨とデザミス、スカラコミュニケーションズの三者は「U-メディカルサポート」とLACの連携機能を共同開発し、この度新機能の実装に成功しました。
新機能の紹介
このシステムにより、往診先でのカルテ機能が利用できるだけでなく、以下のような機能の開発や検証が予定されています。
1. 死亡確認業務の簡略化
農家がスマートフォンやタブレットで撮影した画像を直ちにシステムに取り込むことが可能です。牛の個体情報と農家情報を自動で連携させることで、死亡した牛の遠隔診断が実現します。これにより、従来は現場で確認していた獣医師の移動負担を軽減し、共済手続きの効率化が期待されます。
2. 過去の診療履歴の閲覧機能
現在、往診時に「U-メディカルサポート」に診療内容の記録ができる一方で、LAC内に保存されている過去の診療履歴を往診先で閲覧することができませんでした。獣医師は毎回、往診先から投薬履歴などを所内スタッフに電話で確認していました。この問題を解決するため、LAC内の診療履歴を「U-メディカルサポート」で閲覧できる機能の実装が検討されています。
U-メディカルサポートのサービス内容
「U-メディカルサポート」は、獣医師が行う基本業務、すなわち診療やカルテ作成、メモ、指示書の作成、保険請求などをデジタル化し、家畜診療に関する幅広いサポートを提供します。その目的は、現場の効率化と獣医療の質の向上だけでなく、農家との連携効果を高めることにあります。
まとめ
山梨県農業共済組合が導入した「U-メディカルサポート」は、獣医療におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を象徴する取り組みです。今後も更なる機能開発を進め、地域の獣医療の質を向上させ、農家との結びつきを深める役割が期待されます。今後の更なる展開が楽しみです。