次世代光通信技術が進化する: アンリツとフジクラの共同研究
光通信技術は、AIやクラウドサービスの普及に伴い、世界的な需要が高まっています。特に光海底ケーブルやデータセンター間の通信能力は日々増加しており、次世代の伝送技術が求められています。これに応えるため、アンリツ株式会社と株式会社フジクラは、次世代光通信の一環として弱結合型マルチコア光ファイバの研究・開発に取り組み、複数の測定方式でコア間クロストークを評価しました。この成果は、2025年に北海道で開催される「OptoElectronics and Communications Conference (OECC 2025)」で発表される予定です。
光ファイバ技術の現状と課題
現在の主流であるシングルモード光ファイバは、一本のファイバに一つのコアを持ち、伝送速度や通信方式を最適化することで大容量伝送を可能にしています。しかし、技術的な限界に近づいており、さらなる容量増加には新たな技術が必要とされています。
弱結合型マルチコア光ファイバは、一本のファイバ内に複数のコアを持つため、伝送能力の大幅な拡張が可能です。しかし、各コアで発生するクロストークによって通信品質が劣化するという課題があります。このクロストークはファイバの設計や環境条件によって異なるため、正確な評価が不可欠です。
多様な測定方式の導入
アンリツとフジクラは、この研究において計4つの測定方式を用いました。光パワーメータを2方式、そしてアンリツのOTDR(光パルス試験器)を利用した2方式です。評価対象にはフジクラ製の4コア弱結合型マルチコア光ファイバが使用され、全ての測定方式で1550 nmにおいて±1.0 dB以内の一致が確認されました。
この結果は、異なる使用シーンに応じて既存の測定方式を使い分けることが可能であることを示しています。また、研究開発や製造、敷設・保守といった過程においてもこれら測定方式の効果を最大限に活かすことが出来るでしょう。
将来への展望
今後、アンリツはこれらの成果を踏まえて、弱結合型マルチコア光ファイバの通信品質評価ソリューションを提供し、次世代光通信技術の実用化に向けた課題解決に貢献していく予定です。国際会議での発表を通じて、弱結合型マルチコア光ファイバの標準化にも寄与することを目指しています。
この研究が光通信の未来を切り開く一助となることを期待しています。