シーフードレガシーと青島海洋生態研究会の連携
2025年のサステナブルシーフードサミットが開催される大阪で、株式会社シーフードレガシー(以下、SFL)と中国・青島市の海洋生態研究会(以下、QMCS)が重要な覚書(MOU)を締結しました。この連携によって、両者は東アジア地域における持続可能な水産物供給の基盤を構築することを目指しています。
東アジアにおける水産物供給の課題
東アジアは世界的に見ても水産業が盛んな地域であり、全体の水産物生産や流通の約半分を担っています。この地域の海洋及び沿岸生態系は、漁業と養殖業を支える重要な役割を果たしています。しかし、一方で、乱獲や無規制漁業(IUU漁業)、環境劣化、生物多様性の喪失、気候変動などの深刻な問題があります。これらは国境を越えた協力によって初めて解決可能な課題です。
目指すプラットフォームの目的
SFLとQMCSは、このMOUを通じて以下の目的を掲げています。
1.
トレーサビリティの向上:水産物のサプライチェーン全体における透明性と説明責任を高める。
2.
持続可能な漁業・養殖業の推進:環境に配慮した方法での漁業や養殖業を確立。
3.
公正な生計の確立:生産者と労働者に対する適正な待遇の実現を目指す。
4.
SDGsへの貢献:責任ある水産物市場の成長を通じ、持続可能な開発目標の達成に寄与すること。
連携の柱
この協力は以下の3つの柱に基づいて進められます。
- - 共同設計:国際的なリーダーや地域の団体と協力し、プラットフォームの運営体制を策定する。
- - 共同開発:乱獲やIUU漁業、不適切な養殖、社会的不平等に対する実践的な解決策を作成する。
- - 共同運営:ワークショップや対話を通じて持続可能な生産と消費を促進し、サプライチェーンへの関与を強化する。
両者の役割
シーフードレガシー(SFL)
SFLは、日本と地域の水産サステナビリティ分野でのリーダーシップを発揮し、市場変革や政策提言を行います。特に水産業の変革に向けたノウハウとネットワークを提供し、持続可能な水産物の普及に寄与します。
青島市海洋生態研究会(QMCS)
QMCSは、中国の漁業や養殖業の現場からの知見を持ち寄り、地域社会や市民社会との連携を強化することで、持続可能な水産業の推進を図ります。
代表のコメント
この覚書締結について、両組織の代表は次のように述べています。
ソンリン・ワン氏(QMCS代表)
「この重要な地域連携をシーフードレガシーと立ち上げることができ、光栄に思います。サステナブルシーフード・サミットは、シーフードレガシーのリーダーシップを象徴するもので、私たちの理念とも一致しています。」
花岡和佳男氏(SFL社長)
「サステナビリティは個別の努力では実現できません。今回の連携は、東アジアの水産物供給の未来を共に描き直す出発点です。」
今後の展開
両組織は、今後も国内外の関係機関や企業、市民社会組織と協力しながら、2026年以降のプラットフォームの設計を進めていく予定です。この新たな取り組みは、責任ある水産物を推進し、地域の生態系と社会への利益に繋がるでしょう。
組織紹介
青島市海洋生態研究会(QMCS)
2017年に設立されたQMCSは、中国の非営利団体で、海洋生態系の保全と水産業の持続可能な発展に取り組んでいます。主な活動内容には、漁業の持続可能性の推進、沿岸生息地の保護、伝統的な生態知識の継承、そして責任ある水産物の消費促進があります。公式サイト:
QMCS
株式会社シーフードレガシー
東京に本社を置くソーシャルベンチャーのSFLは、日本の水産業界および政府に対してコンサルティングやプラットフォームサービスを提供しています。持続可能な水産業の実現を目指し、関係者とのネットワーキングを進めています。公式サイト:
シーフードレガシー