安永ケンタウロス写真展『水辺の肖像』の魅力
2025年8月30日から9月7日まで、東京・青山にあるLIGHT BOX SATELLITEで、写真家・安永ケンタウロスの個展『水辺の肖像 waterside portrait』が開催されます。この展示会では、北海道・東川町でのライフワークであるフライフィッシングを通じて撮影された、川や湖などの自然の水辺に焦点を当てた作品が紹介されます。安永氏はその水が時々見せる美しい瞬間を厳選し、独自の視点で捉えた写真を展示しています。
安永ケンタウロスのアプローチ
安永氏の作品は、ただの風景写真ではありません。彼は写真に込められた特別な意味や意図を持たず、各作品には水の温度や緯度経度の数字が明記されている点が特徴的です。これらの数値は、彼自身が感じた水の冷たさや温かさ、そしてその水辺を歩いたときの軌跡の記録として機能しています。
写真において、安永氏は「手軽さ」と「リアリズム」が根本的なテーマであると考えています。これはスーザン・ソンタグの著書『写真論』にも触発されており、作品の本質的な価値を探求する姿勢が表れています。彼が描く水辺は、ただの模倣ではなく、彼自身の感覚や移動が重要な要素とされ、ダイナミズムに満ちています。
自然との共生
安永氏の写真は、ただの景色としてではなく、流れる水の様子やその環境に息づく生命感が映し出されています。水の深さや流れ方、風の影響、光と影のバランスなど、2度と訪れない瞬間の微妙な違いが「水辺の肖像」として特定の条件を与えています。
彼は作品を通じて、観る人に心の声を語りかけます。水は人間の体内にも欠かせない存在であり、安永氏はその水辺の表情に自己を投影します。これにより、観る人が自分の心の声を感じ、意味を見出すことができるのです。
これまでのキャリア
安永ケンタウロスは、フィリピンに生まれ、株式会社アマナに在籍後、2015年からフリーランスとして活動を開始しました。2020年にはkKkK inc.を設立し、広告や雑誌、書籍の撮影など幅広く手掛けています。その間、数々の受賞歴を持つ彼の作品は、アートとしての価値が認められています。
過去の展覧会も豊富で、北海道を中心に様々なテーマで展示を行ってきました。彼の作品は、構図や光、色彩の独自性に裏打ちされたものであり、観る人を惹きつけてやみません。
展覧会の詳細
開催日時: 2025年8月30日~9月7日
開場時間: 11:00~19:00(会期中無休、入場無料)
会場: LIGHT BOX SATELLITE, 東京都港区南青山5-15-9
アートと環境の交差点に立つ安永ケンタウロスの作品と共に、自然の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。この機会に、心を澄ませて展示会をご高覧いただけると幸いです。