株式会社ExtenDが新たなビジョンを掲げる
株式会社ExtenDは、佐賀県鳥栖市に本社を置くスタートアップ企業で、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)から派生した会社です。2025年6月にはシード資金の調達を完了し、同社が掲げる「ダイヤモンドで新しい市場を切り拓く」というビジョンの実現に向けて力強い第一歩を踏み出しました。
資金調達の詳細
今回の資金調達額は非公開ですが、引受先には三星ダイヤモンド工業株式会社(大阪府摂津市)や株式会社佐銀キャピタル&コンサルティング(佐賀県佐賀市)が名を連ねています。この資金は、主にダイヤモンド材料の研究開発や製品化、試作・実証事業の推進、人材の採用・体制強化、さらにパートナー企業との協力による事業拡大に使われる予定です。
ExtenDの事業内容
株式会社ExtenDは、専門的なダイヤモンド材料を基にした技術開発を進めています。具体的には、次のような事業を行っています。
- - ダイヤモンド結晶やその素材を用いた各種センサーや電子機器の製造・販売。
- - ダイヤモンド薄膜成長やチップ加工の受託サービス。
- - 成膜装置の製造・販売。
特に注目すべきは、産総研が開発した熱フィラメントCVD装置を活用した独自のダイヤモンド合成技術です。この技術により、ExtenDは高精度でダイヤモンドを合成できる能力を持ち、今後の市場展開に大きく寄与すると期待されています。
AIソムリエ技術の革新
同社が開発した「AIソムリエ技術」は、超高感度なダイヤモンド電極を使用し、電気化学測定にAIを統合したものです。これにより、様々な溶液から得られる化学的な指紋情報であるスペクトル信号を迅速に、そして簡単に取得できるシステムが実現しました。
この技術は食品や飲料、医薬品などの分野に広がり、品質管理や状態予測、異常診断といった多岐にわたる応用が可能です。例えば、血液や汗、尿などの体液からも微細な成分の違いを可視化し、健康診断やパーソナライズされた医療に大きなインパクトを与えるでしょう。
企業の沿革と今後の展望
ExtenDは2021年に日本の科学技術振興機構の支援を受け、2022年には法人として設立されました。その後、数々の受賞歴やパートナー契約の締結を経て、2024年に向けた戦略を着実に進めています。特に、2025年には大阪・関西万博でのプランにも共創パートナーとして参加するなど、国際的な展開も視野に入れています。
また、CTOである大曲新矢氏がノーベル賞受賞者との共演イベントに参加予定であり、今後も注目が高まる企業です。
まとめ
株式会社ExtenDは、ダイヤモンド材料を利用した先進的な技術開発により、新たな市場を模索し続けています。これからの彼らの活動が、どのような新しい価値を生み出していくのか、引き続き注目していきたいと思います。