済生会と国産SAF製造へ向け廃食用油供給に合意!新たな循環型社会の実現へ
社会福祉法人恩賜財団済生会が、日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボインターナショナル、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYの4社と共同で、廃食用油を原料とした持続可能な航空燃料(SAF)製造を目指す基本合意書を2023年1月31日付で締結しました。この取り組みは、使用済み食用油を有効活用することでの気候変動対策貢献を目指し、循環型社会の実現に向けた一歩とされています。
不要な油から新たな資源へ
済生会は全国に83の病院、300以上の福祉施設を運営しており、これらの施設から出る廃食用油を年間約36,000リットル供給する計画です。この廃食用油からは、年間およそ30,000リットルのSAFを製造でき、それによって約83,000kgのCO2削減効果が期待されています。
レボインターナショナルが廃食用油を収集し、SAFFAIRE SKY ENERGYが大阪府堺市にて行う国産SAFの大規模製造プラントに納入。その製造プロセスは2025年4月に開始予定で、日揮HDはサプライチェーン全体の構築を進めています。
済生会の歴史と理念
済生会は1911年に創設され、以来「施薬救療」の精神の下、経済的に困難な立場にある人々に対して医療を提供してきました。近年では、SDGsの実現や社会的支援を必要とするすべての人々が地域社会に参加できるような取り組みを強化しており、グリーン社会の実現にも注力しています。このように、済生会の理念は本プロジェクトと深く結びついており、持続可能な社会への貢献を目指しています。
日本のSAF事情と持続可能性
SAFは廃食用油を原料とし、従来の航空燃料と比較してCO2排出量を大幅に削減できる特長があります。日本では、国土交通省が2030年に国内航空会社の燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標を設定しており、2050年にはカーボンニュートラルを目指しています。しかし、SAFの製造に必要な廃食用油の安定調達が課題となっています。現在、日本国内での廃食用油は年間約10万トンが海外に輸出されており、これが国産SAFの製造にとって貴重な原料の流出となっているのです。
国内初の大規模SAF製造事業
日揮HDとレボインターナショナルはコスモ石油と共に、国内の廃食用油を使用したSAFサプライチェーンの構築に向けたビジネスモデルを確立しています。2024年12月には製造設備が完成し、2025年4月から供給が開始される予定です。この事業は国際的な持続可能性認証であるISCC CORSIA認証を取得する見込みで、環境に配慮した航空燃料の供給に期待が集まっています。
Fry to Fly Projectとは
「Fry to Fly Project」は、家庭や店舗で発生する廃食用油をSAFの原料として利用し、航空機が飛ぶ未来を実現するプロジェクトです。日揮HDが発起人となり、多くの企業や自治体がこのプロジェクトに賛同しています。家庭や飲食店から廃油を集め、資源循環を促進する取り組みを進めています。
このような取り組みによって、済生会をはじめとする企業が協力し、日本の持続可能性の向上に貢献する姿勢が強まっています。今後の進展に注目が集まります。