商船三井、シェル社との次世代契約を発表
2023年の今、商船三井は新たな海洋工業の一歩を踏み出しました。本社は東京都港区に位置し、社長の橋本剛が指揮を執る株式会社商船三井の100%子会社であるSeaLoading Holding AS(CEOは久保芳朗)は、Shell Brasil Petróleo Ltda.(Shell)との画期的な三者間契約を締結しました。この契約は、TotalEnergies EP Brasil Ltda.(TotalEnergies)が運営するカーゴ・トランスファー・ベッセル(CTV)「SeaLoader 1」をShellに使用許可する内容です。
この契約は、海上で原油を効率的に移送する手段として注目されるCTVの普及をさらに加速させるでしょう。SeaLoader 1は、ブラジル沖のサントス盆地でFPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)から原油を直接タンカーに移送するために設計されています。TotalEnergiesは引き続きこの船の優先使用権を保有しますが、Shellも同様に同船を使用することができるため、今後の油田事業において大きな利点をもたらすことでしょう。
SeaLoader 1の進捗と役割
SeaLoader 1は、導入以来130回を超える荷役実績を誇る高性能なCTVです。これまでの油田輸送は、シャトルタンカーを介して行われてきましたが、CTV技術の採用により、移送効率が格段に向上しました。従来の方式では、船体が波や風の影響を受けており、積み替えに時間がかかりましたが、CTVシステムではFPSOから直接タンカーに原油を移送することができるため、輸送が迅速かつ安全に行えるのです。この効率化は、CO2排出量の削減にも大いに寄与します。
環境への配慮と効率向上
商船三井は、今後も石油メジャーとの協業を強化し、CTA技術を活かして原油生産から貯蔵、積み出しまでのサプライチェーン全体の効率化を図ります。また、CTVの普及により、環境負荷の低減にも注力していく考えです。商船三井グループは、持続可能な未来を見据えた事業展開を進めており、今回の契約はその大きな一歩となります。
CTV技術の特許
SeaLoading社は、ノルウェーのアーレンダールに本社を置き、2014年に設立されました。この会社が保有するCTV技術の特許は、現在世界に存在する2隻のCTV船の運営を支えています。特に、既に運用している2隻のCTVはいずれも、これまでの従来方式を凌ぐ効率を示しており、運用に関わる全ての関係者から高い評価を受けています。
結論
今回のシェル社とトタル社との契約は、商船三井が目指す環境に優しい油田輸送の未来を示唆する重要な出来事です。より効率的で持続可能なサプライチェーンの確立に向けて、一層の努力を重ねていくことでしょう。