大阪・関西万博のパビリオンをリユースする新たな試み
2025年に開催予定の日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」では、
パナソニックグループが手がけるパビリオン「ノモの国」で使用された様々な設備機器や建材が、
株式会社大林組の技術研究所においてリユースされることが決定しました。この取り組みは、
ただ単に設備を再利用するだけでなく、持続可能な社会の実現に向けた大切な一歩と位置付けられています。
リユースの具体的な内容
大林組は、パビリオンで使われる約30種類、180点に及ぶ設備機器や建材を、
東京都清瀬市にある大林組技術研究所の実験棟「オープンラボ3(OL3)」にリユースします。
このプロジェクトでは、元の設備と新しく導入される機器のパフォーマンスや連携性を十分に考慮し、
機能性と環境性能を両立させる設計がなされます。リユース対象となる具体的な品目には、
以下のような設備機器や建材が含まれています。
- - 設備機器: コンセント、照明器具、非常照明、洗面器、監視カメラなど
- - 建材: インターロッキングブロック、ウッドデッキタイル、カーペットなど
環境への配慮と持続可能な社会の実現
今回のリユースに関しては、
顕著な環境配慮が採用されています。特に、「モーダルシフト」と呼ばれる低炭素輸送手法を活用し、
大阪から東京への資材輸送を効率的に行う予定です。
これにより、従来のトラック輸送と比較してCO2排出量を約75%削減できる見込みです。
これは、持続可能な建設方法の一環として、大林組が目指す方向性を示しています。
サーキュラーコンストラクションの実現
さらには、OL3の新築計画では「サーキュラーコンストラクション(循環型建設)」を取り入れ、
廃棄物の削減と資源の有効活用を考慮した設計が進められます。リユースやリサイクルを前提にした
この取り組みを通じて、大林組は長期的な知見やノウハウを蓄積し、今後のプロジェクトに応用していく計画です。
今後の展望
大林組は、2030年の地域の見通しや2050年までの長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」に基づき、
脱炭素社会の実現へ向けての具体的な施策を着実に進めていく予定です。
このように、相互に関連した取り組みが進められることで、
社会全体の持続可能性も向上すると考えられます。
技術の進化とともに、資源のリユースはこれからの建設業界では欠かせない要素となるでしょう。
このような新たな試みがどのように進化し、社会全体へと波及していくのか、今後の動向に注目が集まります。