株式会社CRI・ミドルウェア(以下、CRI)は、ゲーム開発用サウンドミドルウェア製品「CRI ADX®」にテキスト・トゥ・スピーチ(音声読み上げ)機能を追加し、2024年6月25日から提供を開始しました。
この機能は、テキスト情報を音声に変換して読み上げることで、視覚障碍者がゲームを楽しむためのアクセシビリティ支援を実現します。CRI ADX を利用したゲーム開発において、追加費用なしで英語のTTS機能を利用できるようになり、開発者は音声合成などの複雑な処理をせずに簡単にゲームにTTS機能を組み込めるようになりました。
CRI ADXのTTS機能は、既に株式会社バンダイナムコエンターテインメントが提供する一部のスマートフォンゲームに正式導入されており、ゲーム内のテキストチャットが音声で読み上げられるようになっています。
この取り組みは、近年、ゲーム業界でも注目されているアクセシビリティ対応の需要の高まりに応えるものです。米国では、2010年に施行された「21世紀の通信と映像アクセシビリティ法(CVAA法)」により、米国内でリリースされるコミュニケーション関連の機材およびソフトウェアは、障害の有無にかかわらず誰もが利用できるようにすることが義務付けられました。2019年にはゲームもCVAA法の対象となり、アクセシビリティ機能が必須となりました。
日本では、2024年4月の障害者差別解消法の改正により、行政機関だけでなく民間事業者もWebサイト等での合理的配慮の提供が義務化されました。今後、日本国内でもゲームをはじめとした様々な分野で、アクセシビリティ対応の必要性が高まると予想されています。
CRIは、ゲーム機ごとの差異を埋めるミドルウェアの研究開発を進めてきた実績から、「障害の有無という差異」を埋めることにも社会的意義があると捉えています。アクセシビリティに対応したゲーム開発を容易にすることで、これまで身体的な障害を理由にゲームに触れられなかった人にも、ゲームを楽しめる環境を作り出したいと考えています。
今後、CRIは「音と映像で社会を豊かに」という企業理念の下、音声・映像に関する研究開発を進め、世界中のあらゆる人々に驚きと楽しさ、感動を届けるお手伝いを続けていきます。
CRIが提供する音声読み上げ機能は、ゲーム業界におけるアクセシビリティの課題解決に大きく貢献する画期的な取り組みです。視覚障碍者にとって、ゲームの世界へのアクセスはこれまで大きな障壁がありましたが、この機能によって、より多くのゲームを自由に楽しめるようになるでしょう。
バンダイナムコエンターテインメントが既に一部のスマートフォンゲームに導入していることは、この技術が現実的なゲーム開発において有効であることを証明しています。今後、他のゲーム開発会社もこの機能を採用することで、ゲーム業界全体のアクセシビリティ対応が加速していくことが期待されます。
CRIは、音声と映像技術を通じて、ゲームというエンターテイメントを、より多くの人々に届けるための挑戦を続けています。この取り組みは、ゲーム業界のみならず、社会全体でアクセシビリティの重要性を再認識させるきっかけになるでしょう。
CRIの今後の更なる技術革新と、誰もが楽しめるゲーム環境の実現に期待したいです。