Datadog、新機能でAIエージェントの監視を強化
2025年6月10日、ニューヨークにて、データモニタリングとセキュリティ管理のリーディングカンパニー、Datadogが年次カンファレンス「DASH」で新機能を発表しました。この新機能は、AIエージェントの動作を可視化し、開発の効率を向上させるために特化しています。
この新機能には、AI Agent Monitoring、LLM Experiments、AI Agents Consoleの3つの主要な機能が含まれています。これにより、企業は自社のAIエージェントの動作を詳細に監視し、エージェントを効率的に管理するためのガバナンス体制を構築できます。
AIエージェントの急成長
近年、生成AIや自律エージェントの登場により、企業におけるソフトウェア開発の風景は劇的に変化しています。しかし、この進化に伴い新たな課題も浮き彫りになっています。多くの企業がAIを自社のプロダクトや業務フローに導入しようとする一方で、そのシステムがどのように機能し、どれだけのビジネス価値を提供しているのかを明確に理解することができていないという問題が発生しています。
Datadogはこの課題を解決すべく、AIシステムの内部状態を把握するオブザーバビリティの技術を導入しています。特に、今回の新機能により企業は、AIエージェントの挙動を詳細に監視できるだけでなく、LLMに対する実験を構造的に実施できるようになります。これにより、企業はLLM技術をスムーズに導入し、効率的に改善を進めることが可能となります。
投資対効果の確保
Datadogのプロダクト担当バイスプレジデントであるイリエ・ガルニエ氏は、「最近の調査によると、AIプロジェクトで想定していたROI(投資対効果)を達成しているものはわずか25%です」と述べています。この状況を受けて、同社の新機能はAIへの投資の実効性を高め、企業が成果を評価しやすくすることを目指しています。
新機能を搭載することで、Datadogを利用する企業は、自社のAI関連の取り組みを可視化し、活用効率を向上させ、全体の業務の成長を加速させることができます。
AI Agent Monitoring
AI Agent Monitoring機能では、各エージェントの意思決定プロセスをインタラクティブなグラフで視覚化します。この機能により、レイテンシの急増、誤ったツール呼び出し、無限ループといった問題を詳細に分析し、品質やコストと関連付けて把握できるようになります。これにより、複雑に分散したエージェントシステムでもデバッグが容易になり、全体のパフォーマンスの最適化が促進されます。
LLM Experiments新機能
次に、LLM Experimentsの機能は、アプリケーションのパフォーマンスに対して様々な要素が与える影響を検証するために設計されています。この機能を用いることで、企業は実際のトレースデータや顧客がアップロードしたデータを活用して、パフォーマンスの向上を定量的に把握できるようになります。また、リグレッション(性能低下)を未然に防ぐ手段としても機能します。
AI Agents Console
最後に、AI Agents Console機能は、OpenAIやSalesforce、Anthropicなどの外部AIエージェントを企業の業務フローに組み込むことをサポートします。これにより、企業はそれぞれのエージェントの動作や利用状況を監視し、ROIを測定することが可能になります。また、セキュリティリスクを事前に検知する体制を構築することも重要です。
今後の展望
Datadogの新機能は、企業がAIエージェントの導入を進める上で、透明性を高め、成果を最大化するための重要なツールとなります。今回の機能群は、AIシステムを本格的に展開するために不可欠な可視性を提供し、多様なビジネスへ貢献することが期待されます。企業の競争力を高めるために、Datadogは今後も革新を続けていくことでしょう。詳細についてはDatadogの公式サイトをぜひご覧ください。