宇都宮文星女子高校、EdvPath導入の背景
栃木県宇都宮市に位置する宇都宮文星女子高等学校が、非認知能力(EQやGRIT)の可視化と育成のために、「EdvPath」を導入しました。この取り組みは、県内初となる試みで、生徒一人ひとりの学びの質をデータで把握し、教育活動の改善に役立てることを目指しています。
学校の篠原孝文先生によると、宇都宮文星女子には広範な学力層の生徒が在籍しています。学術的に優れた生徒から、義務教育での学びが不足している生徒まで多様です。特に、自己肯定感が低い後者の生徒が多く、「自分はできない人間だ」と感じながら入学してくることがしばしばです。このような状況において、同校は「来てよかったと思える学校」「自分もできると実感できる教育の場」の実現を目指していますが、卒業時の生徒の表情に依存した評価のみでは、本当の成長を測れません。
課題とその解決策
学校の取り組みとしては、「来てよかったと思える学校」を作るため、学び直しを掲げ続けています。現在の授業スタイルは一斉指導がメインであり、生徒一人ひとりの変化を加味できていないのではないかという懸念がありました。また、教員の思いやりある教育に対して、生徒からの不満も見え隠れしています。このような認識のズレを解消し、教育の成果を感覚ではなく根拠をもって語れるようにする必要性が求められました。篠原先生は、「生徒の成長を学校全体で共通認識として扱いたい」との思いから、エビデンス・ベースド・ポリシーメイキング(EBPM)が進められました。
EdvPath導入の決め手
複数のサービスを比較した結果、EdvPathの多様性と現場運用に即したスピード感および徹底したサポート体制が選定の理由となりました。具体的には、非認知能力を広く測定可能な質問項目の豊富さとその結果を迅速に反映できる操作性が評価されました。教員はその日の内に結果を確認し、それを翌日の指導に活かすことができるので、学校の教育改善に貢献することが期待されています。
今後の展望と教育の方向性
今後、宇都宮文星女子高では、非認知能力育成を中心に、授業自体を探究的な学びへと改装していくことが計画されています。生徒が直面する複雑な問いに取り組むことで、考える力や未解決の問題をやり抜く力の向上を図ります。篠原先生は、「EdvPathの活用を通じて、心理的安全性のある学校を目指したい」と力強く語ります。教員の主観に頼るのではなく、生徒の声とデータに基づいた共通の認識を学校内で形成し、教育の本質を見直すことが重要です。この中で特に重視されるのは、「エビデンス・インフォームド・ポリシーメイキング(EIPM)」です。
生成AIを取り入れた教育実践
さらに、宇都宮文星女子高では、10月9日(木)に「生成AI×教育実践」というオンラインセミナーを開催する予定です。このセミナーでは、LLM(大規模言語モデル)の基本的な仕組みや生成AIを教育にどのように活用できるかについて解説が行われます。参加は無料で、教育に興味のある方々に幅広く公開されています。
セミナーでは、生成AIを使った個別最適化学習の手法や、思考力・判断力を育むための具体的アイデアなども共有されます。これにより生徒それぞれの特性に合わせた支援が実現できることが期待されています。このように宇都宮文星女子高は、EdvPathを起点に非認知能力の育成と学力向上を両立させる新たな教育のあり方を示しています。