若狭の美しい呪いを描いた小説『うたかたの娘』
2025年10月1日、株式会社KADOKAWAから創立者の夏野剛氏のもと新たに発表された小説が話題を呼んでいます。その名も『うたかたの娘』。著者は福井県出身の綿原芹氏であり、本作は「第45回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞」において大賞を受賞しました。同賞は、ミステリとホラーの両ジャンルにおいて新たな才能を発掘するために設立されたものであり、綿原氏の功績は明らかに評価されています。
選考委員からの高評価
本作の評価を後押ししたのが、選考委員の綾辻行人氏と米澤穂信氏です。綾辻氏は「ミステリ的なセンスが感じられ、非常に怖い」と絶賛し、一方米澤氏は深い悲哀と現代的なテーマを見事に描いたことを高く評価しています。このような実力派の選考委員からの支持を受けた作品が、新人作家によるものであることは、まさに信じられないことです。
魅惑のストーリー
小説の舞台は若狭、特に美しい村。物語は「僕」という主人公が魅惑的な女性との出会いから始まります。彼は不気味な魔女のような人物を見つけ、その魅力に抗いきれずにナンパを試みることになります。この女性は故郷の奇妙な人魚伝説を語り出し、物語は急展開を見せます。水嶋という女子生徒の持つ圧倒的な美しさは、彼女が抱える秘密に繋がっており、彼女は「私、人魚かもしれない」と告白します。この謎めいた設定が魅力的で、読者を引き込む要素がそこにあります。
試し読み公開と特別対談記事
さらに、KADOKAWA文芸WEBマガジン「カドブン」では、本書刊行前に綿原氏と綾辻氏の対談が公開されています。読者はこの対談記事を通じて、著者の思考や作品の裏話を知ることができるでしょう。加えて、第一話と第二話の全文も試し読みとして提供されており、ホラー界に新たな才能が誕生したことを実感することができるはずです。
書籍情報
- - 書名:うたかたの娘
- - 著者:綿原芹
- - 発売日:2025年10月1日
- - 定価:1,980円(本体1,800円+税)
- - 装画:調
- - 装丁:坂野公一(welle design)
- - 体裁:四六判上製単行本/256頁
- - ISBN:978-4-04-116621-5
- - 発行:株式会社KADOKAWA
綿原芹という作家の名を、これからは目にする機会が増えることでしょう。『うたかたの娘』は彼のデビュー作であり、そこには多くの冒険と魅力が詰まっています。妖しげで美しい物語を追体験するために、ぜひ本書を手に取ってみてください。