東京国立博物館が新たに採用した高機能展示ケース『Artivista』
日本の文化財を守り伝えるため、株式会社イトーキは2023年、東京国立博物館に高性能展示ケース『Artivista』を新たに納入しました。この展示ケースは、現代の最先端技術を駆使し、文化財が持つ美しさを最大限に引き出す設計となっています。
高い開放性を持つ展示ケース
今回導入されたのは、片側開口率が90%の行灯型展示ケースと、両側とも開口率90%のハイケースの2タイプ。どちらのタイプも、展示品を鑑賞する際の障害を最小限に抑え、来館者に文化財の魅力をじっくりと体験してもらえるよう配慮されています。特にハイケースは、大きさが幅3メートル、奥行き1.2メートル、高さ2.7メートルあるため、多彩な展示品を収容可能です。さらに、各ケースには照明付きの展示台が装備されており、電動で上下移動できる機能も併せ持っています。
鑑賞体験を高める設計
展示ケースには、鑑賞時の視界を妨げない低反射コーティング高透過合わせガラスが使用されています。これにより、仏像などの貴重な文化財の細やかな表情や佇まいを、鑑賞者はより美しく、そしてありのままに感じることができます。このデザインによって、文化財と鑑賞者の距離が縮まり、単なる展示物としてではなく、感情的に触れ合うことができる空間が作り出されています。
環境への配慮
ケース内の環境管理にも多岐にわたる配慮がなされています。空気環境や湿度管理にこだわり、ケースの展示床板には環境対応素材を採用。さらに、データロガーが内蔵されており、気密性能は空気交換率0.03回/日を確保。地震対策として、滑り免震機構も装備されています。
シンプルさが引き立てる美
また、ミニマルなガラス扉を採用することで、ガラス面を最大限に活かし、まるで存在を消したかのような展示ケースが実現されました。鑑賞者との関係性を重視したこの設計により、文化財はより直接的に人々と向き合うことが可能です。「仏様とともにある」と感じる澄みきった空間を演出し、文化財鑑賞体験の質を高めています。
今後の展望
イトーキは今後も美術品保護のために先進的な展示ソリューションを提供し続けるとしています。東京国立博物館での『Artivista』のデビューは、文化財の展示に新たな可能性をもたらすものであり、訪れる人々にとってかけがえのない体験となることを目指しています。歴史的・文化的価値を有する美術品を守り、次世代へと伝えていくための仕組みが、今後もさらに進化していくでしょう。