戦後日本の装身具
2023-02-24 11:00:02
装身具から見る戦後日本のファッションと文化の変遷
日本のコスチュームジュエリーの歴史を振り返る
東京都目黒区に位置するアクセサリーミュージアムで、2023年1月31日から5月27日まで「戦後日本コスチュームジュエリー史 1950-2000」が開催されています。この企画展では、戦後から現在に至るまでの日本の装身具の進化を体感できる貴重な機会となっています。展示は時代ごとに分かれ、変遷を辿る内容になっており、訪れる人々に装身具の美しさとその意味を再認識させてくれます。
企画展の内容
展示は大まかに2階と地下1階に分かれ、1階には江戸時代から1940年代の展示が、2階には1950年代から2000年代の装身具がそれぞれ紹介されています。特に、2階では戦後すぐの窮乏と工夫を感じさせる作品が並び、ファッションやトレンドに対する日本の若者たちの感性が色濃く反映されています。例えば、スイカの種を利用したネックレスや、時計のカバーガラスを使ったペンダントなど、独創性溢れる作品が目を引きます。
さらに、地下1階では、創設者でありデザイナーの田中元子氏のクリエーションの源に迫る展示が行われています。ここでは、彼女が使用している作業台や道具が展示されており、実際にデザインの現場を感じることができる貴重な体験が待っています。
書籍の紹介
合わせて、田中元子氏の新著『日本のコスチュームジュエリー史 1950-2000』も注目を集めています。この書籍は、田中氏自身の長いキャリアと彼女の周囲の人々とのインタビューを基に、日本の装身具の歴史を描いています。彼女は60年以上にわたり、ハナエモリやイッセイミヤケといったブランドとのコラボレーションを通じて、若者向けの装身具のデザインに携わってきました。
書籍は、章ごとに世界のコスチュームジュエリーや日本の独自性、さらには戦後の経済成長期まで、幅広く装身具の歴史が網羅されています。この内容は、単なる装身具の歴史を超えて、日本人がファッションをどのように形成してきたかの視点も提供しています。
美術館の使命
アクセサリーミュージアムは2010年に設立以来、歴史的価値のある装身具を通じて日本の文化を後世に伝える役割を担ってきました。常設展示では、約2000点の装身具が展示され、年間6000~8000人もの来場者が訪れています。加えて、年3~4回行われる特別展を通じて、ファッションや装飾品に関する知識を広める場としても活用されています。
このように、損ないやすい装身具は過去に多くの人に見過ごされてきましたが、この企画展と書籍を通じて、日本のファッション史の中での重要性を再評価する機会が提供されているのです。装身具を媒介とすることで、戦後日本の文化の変遷を深く理解できることは非常に意義深いと言えるでしょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社アクセサリーコンプレックス
- 住所
- 東京都目黒区上目黒4-33-12
- 電話番号
-
03-3760-7411