岩手・大船渡市での山林火災　子ども家庭庁による居場所支援の重要性

2025年5月、こども家庭庁が「災害時のこどもの居場所づくり手引き」を全国の自治体に向けて発表しました。そしてその少し前、岩手県大船渡市では山林火災が発生し、数多くの子どもとその家庭が避難を余儀なくされる事態が起こりました。この災害を契機に、子どもが安全に過ごせる場所や支援の必要性がより一層高まりました。

災害時の支援が果たす役割

この「居場所づくり手引き」では、避難所や仮設住宅において、子どもたちが安心して過ごせるスペースを確保することの重要性が強調されています。また、地域や自治体、民間団体との連携が必要であることも示されています。これらの視点は、災害時に直面する子どもたちをどのように支えるかという観点で非常に重要です。

発生した山林火災で、約3,370ヘクタールが焼失し、大きな被害が出ました。避難指示は過去最大で、最大1,896世帯・4,596人が影響を受け、特に学校の休校も長引きました。子どもたちは不安やストレスを抱えながら避難生活を送ることとなり、安心できる場所や支援が必要でした。

地域の力ー「カタリバ」の取り組み

認定特定非営利活動法人カタリバは、これまでの災害支援の経験を活かし、今回の火災後も具体的な支援を行いました。特に、大船渡市のような被災地域では、地元団体と協力しながら、子どもたちの安心できる居場所を提供することを目的とした支援が急務となります。「sonaeru」と名付けられたこのプロジェクトチームは、災害発生時にきめ細やかな支援を届けることを使命としています。

「みんなのこども部屋」の設置

大船渡市の三陸公民館内には、子どもたちが自由に遊び、交流できる「みんなのこども部屋」が設けられました。ここでは、ユースワーカーが常駐し、保護者が安心して子どもを預けやすい環境を作っています。また、地域のNPOと連携することにより、より効果的な支援が実現しました。

市街地の居場所支援

さらに、市街地では未就学児向けの「あそびば」を設置し、地域の元保育士が参加することで、子どもたちに楽しい体験を提供しました。災害時に安定した支援を確保するためには、地域の人々の思いや実行力がかけがえのない力になります。

給付金支援による地域経済への貢献

また、カタリバは、山林火災で被害を受けた子どもたちに現金給付型の支援も行いました。この給付金の特徴は、被災住宅が直接焼失していなくても、周辺火災の影響を受けた家庭にも適用されることです。生活費や必要な物品購入に使えるこの支援は、地域の経済にも好影響を与えるものとなることでしょう。

具体的には、子ども一人につき50,000円を給付し、全壊世帯には追加で同額を提供しました。このサポートは、育児用品の購入や日常生活の再建に役立つと好評を得ています。実際の利用者からも、現金支援の重要性と有効性を実感したとの声が届きました。

地域のつながりを強化する支援

今回の山林火災後には、地域の高校生やNPOが被災地域を支えるために力を尽くしました。カタリバは、そのような地域の担い手たちへの寄付支援も行い、彼らが活動を継続できるようにサポートしています。これが地域の力を持続的に強化するために必要なアプローチだと考えています。

特に大船渡高校では、多くの生徒が自発的にボランティア活動を行い、授業においても災害経験を学ぶ機会としている点が印象的です。これにより、彼らが将来的に地域を支える人材として成長することが期待されています。

まとめ

東日本大震災以来、災害時における子どもの居場所づくりの重要性が高まっており、カタリバはこの理念を実践するための活動を続けています。今回の山林火災を通じて、多くの方々のご支援があったからこそ、子どもたちが少しでも安心できる時間を持つことができました。この支援の輪を広げていくことが引き続き重要です。民間団体による迅速な支援活動は、今後の災害時にも重要な役割を果たすでしょう。

この経験が他の地域でも応用され、必要な支援が行き届くことを願っています。心より、被害を受けた大船渡市の方々が一日も早く穏やかな日常を取り戻されることを祈ります。