自動運転ロボットに搭載された「瞳」ー未来の交通社会へ
関西大学総合情報学部の瀬島吉裕教授が、人間の視線や瞳孔の動きに基づく新しい技術「瞳ディスプレイ」を開発しました。この技術は、自動運転ロボットに「瞳」を与えることで歩行者と非言語的にコミュニケーションをとり、安心・安全な交通社会の実現を目指します。
「瞳ディスプレイ」の概要
目に映る映像を用いてロボットがその意図を伝える本技術は、歩行者との意思疎通を図る全く新しいアプローチです。「あなたを見ている」「速度を落とします」などの情報を視覚的に表現することで、ロボットと人との接点を増やし、事故を未然に防ぐことが期待されています。この研究成果は、2023年10月23日・24日に横浜で行われた「ロボットワールド2025」において初めて披露されました。
研究の始まりと進化
瀬島教授の研究は、当初ぬいぐるみ型ロボットに対する視線コミュニケーションの研究から始まりました。それが進化し、自動運転ロボットやモビリティ機器にその応用を広げることができました。研究室では、実物大の横断歩道モデルが設置され、実際の歩行者と横断時の反応を検証する実験も行われています。これにより、社会実装を視野に入れた検証が進められています。
心理的距離を縮めるテクノロジー
「瞳」を持つロボットは、ただの機械ではなく、意思を持つ存在として人々に受け入れられる可能性を秘めています。視線を交わすことで感じられる信頼感や安心感は、人間同士の関係に近い心理的効果をもたらします。この「人に寄り添う視線設計」は、未来のスマートモビリティや医療、介護支援においても活躍が期待されています。
今後の展望
今後は、自動運転車や配送ロボットへの技術を実装していく計画です。自動車メーカーやモビリティ関連企業との連携を強化し、車両の前部やヘッドライトに瞳ディスプレイを取り入れることで、ドライバーまたはAIが歩行者を認識していることを視覚的に示し、交通の安全性を高めることができます。瀬島教授は、「テクノロジーが人に目を向ける新しい時代の構築」を目指しており、産業界と共創を進めています。
この研究は私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか。今後の展開が非常に楽しみです。
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