ポリマー電池革新
2020-02-13 09:56:22
日本触媒が全固体ポリマー電池の電解質膜を革新し新たな用途を展開
株式会社日本触媒が全固体リチウムポリマー電池に使用する新たな電解質膜の開発に成功した。この新膜は、ポリマー電解質を基にしており、高温での作動が必要だった従来の電解質に対し、室温近くで高いリチウム伝導性を示す。
全固体ポリマー電池は、有機溶剤を用いずに安定した高温環境を保てる点で注目されているが、従来のポリマー電解質はリチウムイオンの伝導性が十分でないため、電池を50℃以上に加熱する必要があった。この新開発の電解質膜は、室温でも高性能を発揮することで、温度依存性を大幅に改善。これにより、電池の作動条件が緩和され、様々な用途への展開が期待されている。
日本触媒は、ポリエチレンオキシドを基盤としたリチウムポリマー電池用の固体電解質を2013年から商業生産しており、これまでにいくつかの改善が行われてきた。しかし、これらのアプローチの多くは、性能向上を図る過程でイオン伝導度が低下する課題を抱えていた。日本触媒は、独自のイオン伝導メカニズムを導入することで、この問題を克服。この新しい電解質膜は、従来のポリエチレンオキシド系の膜と同じイオン伝導度を維持しつつ、リチウムイオンの輸率を5倍以上向上させることに成功した。
新しい電解質膜は、リチウム金属に対する安定性と、4V級の正極活物質との適合性を確認済み。この技術を用いたラミネート型全固体リチウムポリマー電池は、25℃や40℃での放電特性が大きく向上しており、性能向上により充電時間の短縮やエネルギー密度の増加が実現できる見込みだ。加えて、加熱のためのエネルギーコストも削減される。
日本触媒は今後、この新技術を全固体ポリマー電池用電解質膜に限らず、無機電解質の界面形成材などへの市場展開も視野に入れ、サンプルを提供し、新たな用途開発に取り組む方針である。
今回の開発成果は、2024年2月26日(水)から28日(金)に東京ビッグサイトで開催される国際二次電池展に出展される予定で、多くの関係者の注目が集まることが予想される。日本触媒は、1941年の創業以来、触媒技術を中心に活動を展開しており、高吸水性樹脂分野での世界的なリーダーとしての地位を築いている。
最新技術を駆使し、製品の革新を進める日本触媒は、今後もイノベーションを続け、産業界に貢献し続けるだろう。これにより、より持続可能な未来に向けた一助となることを目指している。
会社情報
- 会社名
-
株式会社日本触媒
- 住所
- 東京都千代田区内幸町1-2-2 日比谷ダイビル
- 電話番号
-
03-3506-7605