感覚過敏児童のための「やさしいワイシャツ」が受賞
近年、感覚過敏に悩む児童や生徒が増加しています。そんな彼らのために、カンコー学生服株式会社と株式会社クリスタルロードが共同開発した「やさしいワイシャツ」が、このたび第18回キッズデザイン賞を受賞しました。この賞は、子どもたちが安全に、そして感性豊かに成長できるように配慮された優れた製品やサービスを評価するものです。
キッズデザイン賞について
キッズデザイン賞は、2007年に設立され、子どもたちの安全や創造性を引き出す製品やサービスを広く社会に発信することを目的としています。受賞作品は、子どもたちを守り、育てるための設計がなされていることが求められます。
「やさしいワイシャツ」は、そのデザインが「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」で評価されました。感覚過敏の兆候を持つ子どもたちが快適に学校生活を送れることは、非常に重要です。
感覚過敏の課題と開発背景
感覚過敏の症状は、発達障害やうつ病、自律神経失調症などさまざまな原因によって引き起こされることがあります。この状態にあると、特に服を着ることが苦痛に感じられることがあるため、学校指定の制服を着ることに困難を抱える子どもたちが多くいます。こうした背景から、カンコー学生服と感覚過敏研究所は、感覚過敏の特性に合わせた制服を作成することを目指しました。
開発は、感覚過敏研究所の所長である加藤路瑛氏を中心に、実際の感覚過敏当事者の意見を取り入れながら進められました。ヒアリングや試着会を通じて、彼らのニーズを反映したワイシャツが完成しました。
こだわりのデザインと素材
「やさしいワイシャツ」の主な特徴は、その着心地とデザインにあります。
1.
縫製仕様: 縫い目やタグが肌に触れないよう配慮されています。生地端を巻き込む「巻き伏せ縫い」を採用し、フラットな仕上がりにしています。また、首元に通常ついているタグはすべて取り外され、必要な情報は肌に当たらない位置に配置されています。
2.
やわらかな襟元: 襟のデザインも改良され、締め付け感を軽減しています。襟は一体型の仕立てで、段差もなく快適です。
3.
高品質な生地: 使用される素材は、エジプトの最高級綿を100%使用し、その柔らかさは従来のワイシャツと比べても群を抜いています。
4.
フォーマル性の維持: 着心地のよさを追求しながらも、外見は一般的なワイシャツの形を維持しています。ボタンの間隔も工夫されており、開きすぎないデザインです。
徐々に社会を変える取り組み
感覚過敏研究所は、社会全体における感覚過敏の理解を深めるための啓発活動も行っています。彼らは、子どもたちが快適に着用できるアパレルや商品を通じて、より多くの人々が感覚過敏について知るきっかけとなることを目指しています。
カンコー学生服と感覚過敏研究所の共同開発により生まれた「やさしいワイシャツ」は、感覚過敏を抱える子どもたちにとって、教育現場での安全で快適な環境を提供する要素の一つとなることでしょう。こうした取り組みが広がることで、感覚過敏を持つ子どもたちがより良い未来を拓くことが期待されます。