小学生が開発した特許査定のシート製ストローの誕生秘話
2019年の夏休み、当時小学3年生だった光浦更紗(さらさ)さんの自由研究が、新たな商品を生み出すきっかけになりました。彼女は、環境に配慮した繰り返し使用できるストローの開発に着手しました。このストローは、特許査定を受けた全く新しいアイデアです。シンプルなデザインでありながら、実用的で、楽しさも兼ね備えています。
開発のきっかけ
自由研究のテーマ設定には、多くの思考と試行錯誤がありました。更紗さんは、自然由来の素材を使ったストローの比較から始め、麦わらや竹、空芯菜といった円筒状の植物に着目しました。また、様々な素材を用いた実験を重ね、ストローの特性を探求しました。
この過程で得られた知識は、特許を視野に入れた次のステップへと進むきっかけになりました。
ストローの設計
様々な巻き方を試行錯誤した結果、クリアファイルを利用した新たなアプローチが生まれました。
1. 最初にA4の紙を横に巻く試みを行いましたが、空気と水の漏れが問題となりました。
2. 次に、正方形の紙を斜めに巻くことを試みると、漏れないものの口元が鋭利になるという新たな課題が浮上しました。
3. 長方形の紙を使用してみると、ラッパのような形状になり、ストローとしての機能を損なう結果に。
4. そこで斜めに切った直角三角形の紙を使用し、口元と先端を調整することによって、ストローとしての形状が完成しました。
この結果、繰り返し使える、かつ洗浄しやすいストローが生まれたのです。
特許申請のプロセス
自由研究の結果が注目を集めたのは、このストローが持つ可能性に気づいてもらえたからです。学校の先生による「特許が取れるのでは?」という言葉から、親子で特許申請に向けた動きがスタート。光浦健太郎さんは、娘のアイデアをさらにブラッシュアップし、3ヶ月後に特許出願に至りました。
STROLLブランドの立ち上げ
光浦醸造はこの特許出願を契機に新たなプロジェクトを開始しました。2021年6月、『STROLL』というブランドが立ち上がり、最初の製品「STROLL_01」がリリースされました。この製品は、飲用時の快適さと環境に優しい特性を兼ね備えています。
シート製ストローの魅力
このストローの最大の特長は、コンパクトに保管できる点と、プラスチックに近い飲み心地を提供できるところにあります。
また、耐水性も備えているため、安心して使用できるのもポイントです。さらに、環境への配慮から、物流コストやCO2の削減にも寄与しています。
次なる展開
さらなる進化を遂げた新アイテム「Origami straw」が登場します。10月13日よりクラウドファンディングを通じて製品を提供する予定です。これにより、STROLLの可能性が一層広がることでしょう。
会社情報
光浦醸造工業株式会社は、小さな醸造所で、創業から150年以上にわたり伝統的な調味料と新しい製品開発に挑んできました。環境に優しい商品を通じて食卓を豊かにすることを目指し、常に変化に対応しています。
公式サイト:
光浦醸造
この小学生の自由研究から始まったアイデアが、特許を取得し、製品化されるまでの物語は、未来に対する希望と夢の象徴です。今後のSTROLLブランドの展開にも期待が高まります。