悪液質治療薬開発のテンセグリティファーマ、5億円調達で世界展開へ
革新的な新薬開発を目指すバイオスタートアップ、テンセグリティファーマ株式会社が、5億円のシードラウンド資金調達を完了しました。この資金調達は、ベルギーに本社を置くニュートンバイオキャピタル(NBC)からの第三者割当増資によるものです。
調達資金は、アステラス製薬株式会社から戦略的理由で開発中止となった悪液質治療薬「TSP-101」の開発加速に充てられます。悪液質は、がんや心疾患、感染症などの慢性疾患に伴う体重減少を特徴とする病態で、有効な治療法が確立されていません。
TSP-101:悪液質克服への期待
TSP-101は、悪液質の発症割合が高い様々ながんにおいて過剰発現する特定因子のシグナルを遮断することで、がん由来の全身性炎症反応を抑える効果が期待されています。これにより、悪液質症状の改善だけでなく、がんの微小環境を改善する抗がん作用も期待できる画期的な治療薬候補です。
テンセグリティファーマは、独自の創薬アプローチで、少人数のチームで迅速に解決策を見出すことを強みとしています。このアプローチは、少数の構成要素で安定した構造を作る「テンセグリティ」の概念に基づいています。
テンセグリティファーマの事業展望:グローバル展開へ
同社は、TSP-101を早期に臨床フェーズ1/2へ投入し、臨床での概念実証(POC)取得を目指しています。将来的には、グローバルでの探索的臨床試験を実施し、創薬エコシステムの活性化と新たなビジネス機会の創出を目指します。また、製薬業界とスタートアップの両方の経験を持つ人材で構成されたチームは、日本発のグローバルな創薬人材育成にも力を入れています。
ニュートンバイオキャピタル:日欧両地域にまたがる投資
今回の投資を行ったニュートンバイオキャピタルは、新薬開発スタートアップを対象とするベンチャーキャピタルです。AMED(日本医療研究開発機構)の「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」に認定されており、日欧両地域で投資活動を行っていることが特徴です。
日本の創薬エコシステム活性化への貢献
テンセグリティファーマの取り組みは、日本の創薬エコシステムの活性化に大きく貢献すると期待されています。戦略中止となった新薬候補を独自の視点で評価・回収し、臨床開発を推進する同社の姿勢は、多くの製薬企業や研究機関にとって大きな刺激となるでしょう。今後、TSP-101の開発の進捗状況に注目が集まります。
会社概要
テンセグリティファーマ株式会社
代表取締役:中原 崇人
所在地:東京都中央区日本橋室町1丁目11番12号 日本橋水野ビル7階
設立:2023年3月7日
* URL: https://jp.tensegritypharma.com