救急医療週間を迎え、小児の夜間医療体制の改善に向けた取り組み

救急医療週間の意義

毎年9月9日を中心に設けられる「救急医療週間」。これは厚生労働省と総務省消防庁が共に国民の皆様に救急医療の重要性を理解してもらうために定めた期間です。この時期には救急医療に関する意識を高める様々な活動が行われます。

特に近年注目が集まっているのは、小児の救急医療に関する問題です。救急車の出動件数は年々増加し、令和5年には763万件に達しました。その中で約半数は軽症であり、これは不要な救急搬送の抑制が急務であることを示唆しています。特に、令和5年の乳幼児の救急搬送数は前年より22%の増加を記録しており、小児における救急医療の需要の高さが際立っています。

小児医療の現状

全国的に見ても、夜間・休日に小児科医が受診可能な医療施設の不足が懸念されています。日本総合研究所が実施した調査によると、家庭で夜間・休日の受診が求められる場合に、かかりつけ医を持つ家庭はわずか4%です。また、救急車を呼ぶケースの70%は軽症であり、こうした傾向がますます深刻な問題となっています。

なぜそんな状況が生まれているのかというと、多くの医療従事者が働き方改革の影響を受けているためです。実際、小児の夜間診療所の存続が難しくなっている地域もあり、医療の需要と供給のバランスが崩れていることが理解できます。

ファストドクターの役割

こうした課題に対処するため、ファストドクターは新たなアプローチを展開しています。ファストドクターは、医療リソースを集結し、医療相談、オンライン診療、および必要に応じて救急往診を提供するプラットフォームです。このシステムを活用することで、昼夜を問わず地域の「かかりつけ医機能」が強化されることを目指しています。

2024年7月以降、ファストドクターは小児夜間診療所を持たない自治体において、オンライン診療を利用した医療体制の強化支援を行います。現在取り組んでいる自治体には、北海道上士幌町、浦幌町、奈良県三宅町、広島県神石高原町が含まれています。

福島県福島市でも、医師不足の影響を受けた土日祝日の小児科医療の安定を図るため、遠隔医療を活用した支援を行っています。このように、小児医療の質を向上させるための多様な取り組みが進められています。

医療体制の強化が求められる理由

小児医療の課題解決には、トリアージによる受診行動の適正化、患者の不安軽減、地域間の医療アクセスの均一化といった多面的なアプローチが必要です。その鍵となるのは「かかりつけ医機能の強化」です。

ファストドクターは、不要な救急車の利用を3割減少させることを目指しており、地域医療の発展とともに救急医療体制の構築に貢献していくことを誓っています。