東京農業大学に新設された木造学生寮「青雲寮」の魅力とは
東京都世田谷区に位置する東京農業大学に、新たな学生寮「青雲寮」が完成しました。住友林業株式会社が設計・施工を担当し、純木造の3階建てとして建てられました。この学生寮は国産材、さらには大学が所有する奥多摩演習林から伐採された木材が使用されており、環境に配慮したサステナブルな建物となっています。
「青雲寮」の建物の特長
1. 心身の健康を支える木の効果
青雲寮はただの居住空間ではなく、学生の心身の健康を支えるために木の特性を最大限に活かした設計がされています。東京農業大学の農友会陸上競技部の長距離ブロックは、過去70回以上の箱根駅伝出場という実績を持つチームです。木にはストレスを和らげる効果や、調湿、抗菌作用があります。これにより、青雲寮では学生が心地よく、リラックスできる環境が整っています。
2. 国産材と炭素固定
この寮の建設に使われた木材の約7割は国産材で構成されており、その中の約3割は奥多摩演習林から調達されています。これにより、学生は木材の生産、加工、利用のプロセスを直接体験することができます。さらに、この青雲寮の炭素固定量は約316.874トンのCO2に相当するとされています。この取り組みは、地域資源を活用した持続可能な社会の実現にも寄与します。
3. 心身への効果を検証する研究
住友林業の研究機関である筑波研究所は、木材や緑がもたらす効果を調査しています。これまでの研究によって、木の持つ見た目や触り心地、香りがストレス軽減や免疫力向上に寄与することが明らかになっています。今後、東京農業大学と共同で青雲寮の入寮生の心理的・生理的状態を観察し、そのデータを5年後の2030年に発表する予定です。これにより、木造建築がもたらす心身の健康への影響を証明しようとしています。
落成式の開催
青雲寮の落成式は2024年2月25日に行われ、東京都やメディアを含む約60名が出席しました。感謝状も江口文陽理事長から住友林業に贈呈され、関係者の互いの感謝と共感が感じられる素晴らしい式典となりました。
物件概要
- - 物件名: 東京農業大学青雲寮
- - 所在地: 東京都世田谷区桜丘3丁目9-37
- - 建築主: 学校法人東京農業大学
- - 主要用途: 寄宿舎(学生寮)
- - 敷地面積/延床面積: 1,046.52㎡/1,250.39㎡
- - 構造: 木造 地上3階建(在来軸組工法、準耐火建築物)
- - 室数: 2人部屋 26室(52人収容)
- - 工期: 解体工事着工:2024年1月、竣工:2025年1月31日
- - 設計・施工: 住友林業株式会社
住友林業は今後も木の持つ特性を最大限に活かしながら、持続可能な社会の実現に向けた様々な取り組みを行っていく広いビジョンを持っています。この新しい学生寮が、学生たちの生活や学びにどのような豊かさをもたらすのか、大いに期待されます。