三井情報が実現する次世代の無線通信環境
三井情報株式会社(MKI)は、通信キャリアのネットワークで用いられているSIM認証技術を、企業のWi-Fiネットワークへ適用する実証実験に成功しました。この取り組みは、コスト削減と運用負荷の軽減を実現しながら、セキュリティを強化することを目指しています。具体的には、ローカル5GとWi-Fiという二つの無線通信方式を、同一のSIM認証技術で統一することで、管理の複雑さを排除し、快適なネットワーク環境を提供することを狙っています。
背景:多様化する無線通信環境
現在、企業や産業現場ではローカル5G、Wi-Fi、そしてキャリアネットワーク(LTEや5G等)が並行して使われています。これにより、それぞれのネットワークで異なる認証方式が要求され、管理が煩雑になるという複雑な状況が生じています。キャリアネットワークではSIM認証が広く採用されているのに対し、企業のWi-Fiネットワークでは主にパスワードや証明書による認証が主流です。このため、証明書の管理やパスワード変更に関わる運用コストやセキュリティ課題が増大しています。
そこで、三井情報はSIM認証をWi-Fiにも適用することで、これらの課題を解消することを目指しています。特に、同社は株式会社XACKとの連携を通じて、SIM認証を基にしたWi-Fiクライアント認証の技術検証を進めました。
技術検証の概要
このプロジェクトでは、三井情報が管理するローカル5G環境で提供しているSIMカードを利用し、XACKが開発したEAP-AKA/AKA'に対応したRADIUSサーバーと組み合わせる形でWi-Fi上のSIM認証を検証しました。これにより、多様なOS(iOS、Android、Windows)において正常に動作することが確認されました。
得られた主なメリット
1.
認証方式の統一:特定のSIMカードを用いることで、ローカル5GでもWi-Fiでも同じ方法でアクセスが認証されます。これにより、各ネットワークに特有の運用基盤を持つ必要がなくなります。
2.
コストの低減:既存のWi-Fi環境を利用しながら、必要な場合のみローカル5Gを導入することで、トータルコストを抑えることができます。
3.
運用負荷の軽減:全ての認証情報がSIMカードに集約されるため、証明書やパスワードの管理が大幅に削減されます。
4.
セキュリティの強化:秘密鍵がSIMカード内に安全に保管されるため、鍵の漏洩リスクが低減します。
5.
ユーザー体験の向上:SIMカード挿入時に自動で認証が行われ、パスワード入力や証明書のインストールが不要になるため、ユーザーはネットワーク接続を意識する必要がなくなります。
今後の展開と可能性
三井情報は、今回の成果を基にSIM認証を活用した認証統合の実用化を進めるとともに、法人オフィスや教育機関、IoTデバイスにおける認証手段としても活用を広げていく計画です。多様なユースケースに対応する施策を検討し、顧客の無線通信環境の高度化を支援していく方針です。
なお、EAP-AKA/AKA'は通信キャリアの公衆Wi-Fiサービスでも長年にわたって利用されてきた信頼性の高い技術です。これをふまえて、より社会的に意義のあるネットワーク環境の構築へとつなげていくことが期待されます。