AIによる接続判定
2025-06-11 14:08:23

AIを活用した導波路接続状態の自動判定技術の革新

導波路接続状態をAIで判断する新技術



国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」と称す)の坂巻亮主任研究員と昆盛太郎研究グループ長が、このたびミリ波からテラヘルツ波レンジにおける導波路接続状態を機械学習を活用して自動判定する革新的な技術を開発しました。これにより、高精度な高周波デバイス評価が可能となり、今後のデバイス研究開発に大きな影響を与えることが期待されています。

導波路の重要性とその課題



導波路は電磁波を特定の方向に効率的に伝送する手段であり、通信機器を始めとする高周波デバイスに不可欠です。近年、ミリ波およびテラヘルツ波の利用が広がる中で、これらのデバイスはより多くの電子部品を組み込むようになり、導波路接続の重要性が増しています。これまで、接続状態の確認は作業者の目視や手作業に依存しており、その結果、接続の良否が個々の技術者の経験やスキルによって異なるため、測定精度にばらつきが発生する課題がありました。

AI技術による自動判定システムの開発



本研究では、まず導波路接続時の測定データを精密に収集し、特徴を抽出しました。機械学習を用いることで導波路の接続状態を良好・不良に自動で分類・判定するアルゴリズムを構築。この技術により、経験の浅い作業者でも安定した測定を実現できるようになり、専門知識がなくても高精度な評価が可能として、研究開発や産業分野におけるテラヘルツ技術の普及が見込まれています。

技術の汎用性と応用



この新たに開発したアルゴリズムは、さまざまな測定システムや周波数帯域に対応可能であり、例えば1 GHz〜1.1 THzの範囲で異なる機器の測定にも活用できることが実証されています。これにより、どのようなデバイスや測定環境でも一貫した精度を保持することができ、これまでの方法に依存する必要がなくなります。

今後の展望



今後は、この技術をもとにした測定システムの自動セットアップ技術の開発に着手し、さらなるオートメーション化を進める予定です。これにより、専門的な知識がなくても誰でも、あるいは無人でも高周波測定が実施可能になります。これが実現すれば、次世代通信技術である6Gやテラヘルツスキャナーの開発が加速されることが期待されます。

発表予定



開発した技術の詳細は2025年6月15日にサンフランシスコで開催される「IEEE MTT-S International Microwave Symposium(IMS)2025」で発表される予定です。この発表により、産総研が進める高周波技術の最前線を多くの人々に伝えることができるでしょう。

技術者のレベルにかかわらず、安定して高精度な測定ができる環境を提供することは、今後のテラヘルツ技術利用の発展にとって重要な一歩です。産総研の取り組みに今後も注目が集まります。


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