国際海事機関の法律委員会が不正登録船舶対策を強化

国際海事機関(IMO)第112回法律委員会(LEG112)が2023年3月24日から28日にかけて開催され、その結果、大きな合意が形成されました。この会議では、不正登録船舶による不法行為の対策強化や温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた代替燃料に関する賠償責任・補償制度の必要性が議論されました。

不正登録船舶による不法行為への対策


不正に登録された船舶が、旗国の管理を受けずに航行している状況は、航行安全や環境保護、さらには国際海運市場の公正さに悪影響を与えています。これを受け、旗国の管理能力を強化するためのガイドラインを策定し、途上国への技術協力を行う必要があるとの提案がありました。次期2ヶ年(2026-2027)でこの問題を重点的に扱うことが合意されました。

代替燃料に関する賠償責任制度の形成


持続可能な世界を目指して、IMOは2050年までにGHG排出ゼロを目指しています。このためには、国際海運での代替燃料(例:アンモニアや水素、バイオ燃料)の利用が不可欠です。会議では、これらの代替燃料を使用する際のリスクを考慮し、現行の汚染損害に関する賠償責任制度の導入が提案され、その必要性が合意されました。具体的には、バンカー条約やCLC条約に準じた制度の検討が重要であるとの見解が示されました。

海上安全保障に関する脅威への対応


現代においては、海賊行為や武装強盗だけでなく、サイバー攻撃やテロリズムが海上安全保障に対する大きな懸念となっています。このため、IMOはこれらの多様な脅威に対して包括的な法的観点から検討を行う必要があるとの提案に基づき、次期2ヶ年での議題として合意しました。これにより、国際的な海上での安全が一層強化されることが期待されています。

今回の会議での決定は、国際社会が一致団結して海上の安全と環境保護を推進していく上で、非常に重要な第一歩となるでしょう。特に不正登録船舶への取り組みや新たな賠償責任・補償制度の形成は、持続可能な未来を見据えた海運業の発展に寄与することが期待されます。今後、これらの施策が実施されることにより、海上における安全性が向上し、国際海運の信頼性が高まることを願っています。

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