株式会社WANTO、AIによる小論文添削システムのβ版を発表

新たな教育サポートの実現

株式会社WANTO（京都府亀岡市、代表取締役西坂優希）は、ポートフォリオベースのAI添削システム「Ainote」のβ版をリリースしました。このシステムは、小論文や志望理由書に特化しており、教育現場での課題を解決するために開発されました。

背景にある大学入試改革

2021年に行われた大学入試改革に伴い、従来のAO入試は「総合型選抜」に形を変えました。2023年にはこの選抜方式の利用率が50.7%に達し、主要な選考方法として確固たる地位を築きました。しかし、これにより教育現場では小論文や志望理由書の添削業務にかかる負担が増大しました。

添削業務の実態

調査の結果、1回の添削にかかる時間は15分から1時間以上に及ぶことが明らかになりました。教員が10名の生徒を指導するには、添削に150分以上かかることもあります。さらに、添削には一般的な指導ポイントに加えて生徒一人ひとりのエピソードを考慮する必要があるため、業務の負担は大きくなるばかりでした。

Ainoteの特徴

Ainoteでは、さまざまな機能が搭載されています。まず、ポートフォリオ機能により、生徒は自身の学びを簡単に記録できます。このデータはAIによって解析され、視覚的なフィードバックが得られます。

また、問題作成・配信機能により、テーマを選択するだけで生徒に必要な問題が自動的に生成され、数クリックで配信が可能となります。さらに、AIによる添削機能では、記述内容を即時に解析し、文章の質を評価します。これにより、個々のエピソードに基づいたフィードバックが実現します。

安全性への配慮

Ainoteは、Microsoft Azure OpenAI Serviceに基づいており、安心して利用できる環境を整えています。データのプライバシーにも配慮し、過激なコンテンツはフィルタリングされています。

初期の結果と今後の展望

クローズドα版でのテストでは、従来の添削時間と比較して9割以上の効率化が達成されましたが、入力率が低いという課題が残りました。今後は、これらのハードルを下げる改善を進める考えです。

さらに、今年の4月を目指して正式リリースを予定しており、生徒の学習履歴を一元管理する機能を強化します。教育現場の負担軽減と業務効率向上に寄与することで、教員が生徒とより対話を重ね、教育の質を高めることを目指しています。