リュミエール社が撮影した明治の日本
国立映画アーカイブは、2025年2月25日(火)16:00より、WEBサイト「映像でみる明治の日本」にて、フランスのリュミエール社が撮影した明治時代の日本に関する29作品を新たに公開することを発表しました。これにより、当時の日本をより深く理解し、映像で体験することが可能になります。
このサイトの開設は2019年6月27日で、これは日本映画が初公開から120年を迎えることを記念したものです。すでに公開されている作品としては、『紅葉狩』などの重要文化財に指定された映画が含まれていますが、新たに加わる作品によって、明治時代の日本の多様な姿を感じることができるでしょう。
今回公開するリュミエール社の29本の作品は、1960年にフランスの文化担当大臣で作家でもあるアンドレ・マルローが来日した際に、東京国立近代美術館に寄贈されたものです。リュミエール兄弟は、1895年にシネマトグラフをパリで発表し、映画史に名を残しました。彼らは、世界中で自社の映像装置を使って現地の風景や出来事を撮影し、作品を増やしていきました。リュミエール社による日本の撮影は失敗したと言われていましたが、マルローが持参したフィルムによってその実態が明らかになったのです。
これらの29本の作品は、それぞれ約1分ほどの短い映像で構成されており、ひとつの映画『明治の日本 1896-1900』としてまとめられました。この映画は1962年に行われた「日仏交換映画祭 フランス映画の回顧上映」で上映され、日本映画史において重要な出来事となりました。
明治時代の風情を感じる見どころ
今回の公開では、1897年から1899年にかけて、リュミエール社が東京や京都、北海道など日本全国で撮影した映画が楽しめます。これらの作品は、当時の街の雑踏や農村の風景、踊り、芝居、鉄道の様子を捉えており、明治期の日本を多面的に表現しています。
これらの映像は、歴史的な資料としても価値が高く、また新しいメディアとしての映画の魅力を伝える役割も果たしています。
公開予定の作品一部
名古屋駅で撮影とされるこの作品は、明治時代の交通手段である鉄道の到着を記録しています。
食事よりもお茶を楽しんでいる景色が映し出されています。男性は実業家の稲畑勝太郎で、リュミエール兄弟の兄と友人関係にあります。
華麗な傘を使った踊りが京都で撮影され、当時のエンターテイメントを感じさせます。
歌舞伎の一幕を捉えたこの作品は、映画初期ならではのアクシデントが魅力的です。
男性が水車を回し、水を田に送る風景が捉えられています。
銀座付近の街並みが映し出され、当時の人々の様子が見て取れます。
このように、リュミエール社による作品は明治時代の日本の魅力を利用して、映画の新たな可能性を広げています。この貴重な映像体験が多くの人に届くことを期待します。
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