日本人歯科医がベトナムで初の快挙を達成
株式会社HOLUS(東京都渋谷区)が発表したところによれば、同社の現地法人AGRIEXに所属する幾島章仁歯科医師が2024年11月にホーチミン医科薬科大学で行われた医療ベトナム語試験に合格し、日本人として初めての快挙を成し遂げました。
幾島医師はすでに取得済みのベトナム医師免許を持ち、今後は指定通訳者に頼らず単独で診療を行えるようになります。これにより、これまでの口腔衛生指導や健康促進活動に加え、直接的な歯科治療が実施可能になり、地域支援活動の幅が一層広がることとなります。
医療ベトナム語試験の意義
現在、ベトナムでは外国人医師が単独で診療を行うには、医療ベトナム語試験に合格することが必須です。従来、この試験の合格者が出なかったため、外国人医師は通訳者を介して医療行為を行う必要がありました。しかし、都市部にしか通訳者がいないため、外国人医師が地方で活動する事は非常に困難でした。
幾島医師の合格により、今後は外国人医師が地方や僻地においても診療を行うことができるようになり、医療格差を解消していく可能性が高まります。
地域健康支援活動の展開
AGRIEXでは、これまでにもTra Vinh大学の口腔衛生プロジェクトや孤児院での口腔衛生指導を行ってきました。幾島医師が試験に合格したことで、今後は予防活動だけでなく実際の診療が可能になります。これにより、地域の人々の健康をさらに支援できる体制が整いました。
また、AGRIEX第2工場内にはデンタルルームが建設中で、これにより従業員とその家族だけでなく、地域住民への診療活動や健康促進も構想しています。地域の健康を守る新たな拠点として期待されています。
孤児院への支援活動が強化
幾島医師の試験合格は、孤児院で行っている歯科検診やフッ素塗布活動にも新たな可能性を示しています。これまでは、フッ素入り歯磨剤の提供と衛生指導を中心に活動していましたが、これからは実際の診療も併せて行えます。現在、TUE MINH孤児院やLUC HOA孤児院での活動が進められており、より充実した医療支援が期待されています。
将来の展望と企業哲学
今後は訪問診療車を利用した歯科診療を考慮に入れており、医療アクセスが乏しい地域へのサービス提供に取り組んでいく予定です。また、地域医療機関との連携や後進の育成も重要視し、持続可能な地域医療モデルを構築していきます。
HOLUSおよびAGRIEXは、企業理念に基づき「農家が正当に評価される社会づくり」を目指しており、幾島医師の合格を契機にさらなる地域支援活動を展開していくことでしょう。幾島医師が推進する「ヘルスプロモーション」は、単なる予防医療の押しつけではなく、人々が自ら健康を管理する力を育むことを重視しています。これにより、ベトナムでの歯科医療の発展と地域社会の健康向上に寄与することが期待されています。
幾島章仁歯科医師のプロフィール
幾島医師は北海道札幌市出身で、1994年に北海道大学歯学部を卒業後、歯科医院を開院しました。2012年よりベトナムでボランティア活動を行い、孤児院や学校で口腔衛生指導を実施するなど、多岐にわたる活動を続けています。彼の活動により、ベトナムの地域医療は大きく前進しており、今後の貢献に大いに期待が寄せられています。